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蹴鞠の達人

先日の「理想の日本代表」の記事ですが、
予想以上に多くの方からご感想をいただきました。
やはり、日本代表に期待していた人がそれだけ多かったということでしょうか。


さて、MFに「平安貴族から一人」といういい加減な書き方をしていたところ、
蹴鞠の達人として、推薦が二人ありました。ありがとうございます。
まず一人目は、わが編集長からの推薦、今川氏真です。
氏真は、桶狭間で信長に敗れたあの今川義元の息子です。
桶狭間の後、氏真は松平(徳川)、武田などにあっというまに所領を奪われてしまいます。
氏真は北条氏を頼りますが、その北条氏が武田と結んだため、
今度は徳川家康の庇護下に入ります。
そして家康とともに上洛して父の仇、信長に拝謁し、
その面前で、得意の蹴鞠の妙技を披露したという話が残っています。
ただ、日本代表として世界を相手に戦うには、もう少し芯の強さが欲しいところ。
そう思っていたら、まさに「蹴鞠の達人」と謳われたすごい人を教えてもらいました。

それは、平安後期の藤原成通(なりみち)という人物です。
「古今著聞集」によれば、彼の蹴鞠は凡夫の業ではなく、
蹴鞠場に通うこと7千日以上、2千日連続で蹴鞠をしていたこともあったそうです。
また病気の時は、臥しながらも鞠を足に載せていたということ。
清水寺の舞台の欄干の上を、鞠を蹴りながら行ったり来たりしたとか、
鞠を高く蹴り上げたら、雲の中に消えてそのまま落ちてこなかったとか、
熊野神社に詣でた時に、うしろ鞠(かかとでリフティングですね)を
200回続けながら参拝したとか、信じられないような話が残っています。
また、7,8人を座らせて、その肩から肩へと踏み歩きながら、鞠を蹴ったところ、
肩を踏まれた人たちは、
「沓(くつ)で踏まれたとは思わなかった。鷹が手に止まったくらいに思われた」
といい、一人だけ頭を踏まれた人がいたのですが、その人も
「平笠をかぶったような感覚だった」
と感想を述べたそうです。
さらに若い頃、庭で蹴鞠をしていたときに、蹴りそこなって、
部屋の中に鞠が飛んでいったことがありました。
そこで成通はすかさず走っていって、とんぼ返りで室内に入りかけた鞠を蹴り戻し、
室内の板敷きを踏むことなく、庭にきちんと着地したそうです。
うーん。キャプテン翼も真っ青のオーバーヘッドキックですね。


さらに彼がすごいのは、「蹴鞠の神様」にも会っていること。
ある夜、棚に置いてあった鞠が突然落ちてきたので成通が不思議に思っていると、
顔が人、手足体は猿で、3~4歳の子供くらいの大きさの者が3人現われました。
そして「私たちは蹴鞠の精です」と名乗り、
「昔からあなたほど蹴鞠を愛した人はいません。
そのお礼にあなたの技をもっと高めてあげましょう」と
成通を加護してくれることになったそうです。


この蹴鞠の神様は、「精大明神」または「蹴精大明神」として、
京都市上京区にある白峯神社に祀られています。
(白峯神社といえば、崇徳天皇を祀っている神社として有名ですが)
境内には「蹴鞠の碑」もあり、毎年4月と7月には蹴鞠奉納が行なわれ、
現在ではサッカー関係者の参拝も多いとのことです。
しかし藤原成通ですが、まさに神様にも愛されるその技術。
日本代表にぜひとも欲しい人材ですね。(横)

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