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2007年08月06日

映画「TOKKO -特攻-」を観る

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日高恒太朗先生に教えられ、映画「TOKKO -特攻-」を観にいきました。
日高先生は、「不時着」(新人物往来社/文春文庫)の著者として、
このドキュメンタリー映画に出演しているのです。
(映画のパンフレットには、「不時着」の紹介として、「これは一般に
流布された特攻隊のイメージの背後にある隠された真実を浮かび上がらせた
最初の作品として評価されている」とあった)

映画「TOKKO -特攻-」は、日系二世アメリカ人監督リサ・モリモト氏の視点から、
特攻隊員たちの真実に迫るドキュメンタリー映画の手法をとっていました。
監督の叔父は、戦時中に特攻隊員として訓練を受けたが、
戦後、それを誰に語ることなく世を去りました。
このことに対する「衝撃」が、監督が作品を撮ろうとする出発点になったそうです。

映画では当時の数々の貴重な映像が流され、特に驚いたのは、
特攻長官と称されることもある大西瀧治郎が、
特攻隊員の前で天皇のおほめの言葉を伝えているシーンでした。
大西の声は非常にうわずっているように聞こえましたが、
よくこのようなフィルムが残っていたものだと思いました。

映画ではかつての特攻隊員たち何人かにインタビューし、
それぞれ貴重なコメントを引き出すことに成功しています。
できれば、前後を編集することなく全部聞きたかっのですが、
それは手法上、仕方がないでしょう。

いずれにせよ、一見の価値ありのドキュメンタリー映画です。

映画「TOKKO -特攻-」公式サイト
http://www.cqn.co.jp/tokko/
(永)
 

2006年11月16日

「硫黄島からの手紙」記者会見

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試写会に引き続き、「硫黄島からの手紙」(12月9日公開)の
記者会見を取材してきました。
この日の出席者は、
クリント・イーストウッド監督(73)
渡辺謙(47)
二宮和也(23)
伊原剛志(43)
加瀬亮(32)
他、脚本家などスタッフの方々です。


集まった記者たちの質問は、イーストウッド監督に集中。
イーストウッドはマスコミ嫌いとも会見嫌いともいう噂も聞いていたのですが、
終始にこやかに、聞かれたこと以上に話しつづけていました。
正直、こんなにしゃべる人だとは。
映画は終始英語ではなく、日本語の台詞で進行するのですが、
日本語であろうと、演技の良し悪しを判断するのに支障はなかったとのこと。
「演技とは、脳ではなく、ハートでするものだから」ということだそうです。


栗林中将を演じる主演の渡辺謙さんは、
「この映画に出演することになったとき、日本人として非常に重い責務を感じた」
「映画が完成して、この責務をみなさんとわかちあえるのがうれしい」
とおっしゃっていました。
また、映画の内容、描かれる栗林中将や日本兵たちについて現場で感じたことは、
毎日ノートにまとめ、毎朝そのノートを監督やスタッフに渡していたそうです。
二宮さんや伊原さんなども、思いついたアイデアはどんどん提案し、
監督もそれをどんどん受け入れていったとのこと。
映画を観て、あまり違和感を感じなかったのも、渡辺さん他出演者たちの
そうした努力があったからこそなんですね。
また、渡辺謙さんが監督のことを「クリント」と親しげに呼ぶのも印象的でした。


また、この「硫黄島からの手紙」、アメリカ公開が、
来年2月予定から12月20日公開へと繰り上げられることが決まったそうです。
これにより、前作の「父親たちの星条旗」とともに、
今年のアカデミー賞の候補作となります。
監督はアカデミー賞についての質問に、
「アメリカでの関係者への試写の反応もひじょうに良く、
一般の方も早く見たいという声が上がっている。
ただ、アカデミー賞については私たちが選ぶものではないので、何も言う立場にない」
と答えています。
二宮和也さんの演技が非常に評価が高く、助演男優賞候補になるのでは、
という噂も聞いていますが、そちらも楽しみですね。(横)

2006年11月15日

映画「硫黄島からの手紙」

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12月6日発売の1月号の特集で、「硫黄島と栗林忠道」を採り上げるにあたり、いま話題の映画「硫黄島からの手紙」の試写会を観てきました。
これは、クリント・イーストウッド監督が手がけた、日米双方の視点から描いた、いわゆる「硫黄島二部作」の後篇、日本側の作品です。


まず驚かされたのは、脚本や台詞、ストーリーに大きな違和感がないこと。
アメリカ人のスタッフが作った映画だから、おかしなところもあるんだろうなという先入観を持っていたのですが、途中から日本映画を見ている気分になってきました。


物語は硫黄島の戦いを指揮した栗林中将(渡辺謙)と、何としても内地の妻のもとに帰ろうと思っている一兵卒の西郷(二宮和也)を中心に展開していきます。
日米の圧倒的な戦力差から、硫黄島の戦いは、
当初、5日もあれば終わるとされていました。
しかし、栗林は智略をもってこれまでの日本軍の常識を打ち破る戦法を打ち立て、
36日もの間、戦い抜いていきます。
しかし、それは死よりも苦しい戦いの幕開けでした。
彼らをそこまで戦い抜かせたものは、いったい何だったのか。
この映画はその答えを、観る者の胸に熱く語りかけてきます。


前作「父親たちの星条旗」でも思ったのですが、
戦闘シーンや自決シーンなど、映像は極めて衝撃的です。
見るのが辛いシーンもあるくらいです。
しかし、ストーリーから「あざとい」感動を一切排しているのは見事だと思いました。
むしろ、観客にあえて涙を流させないようにしているような気さえしました。
このストーリーをお涙頂戴の感動映画に仕立てるのは簡単だったでしょうが、
そうしないことで、かえって観客が、硫黄島の戦いというものについて、
そして戦争というものについて、一歩深く考えることを可能にしている気がします。


「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」
双方とも、敵方の事情がいっさい描かれないことも特徴です。
「父親たち~」の方では、そのおかげで、日本軍というものが日本人の私にとっても
不気味かつ、得体の知れないものとして感じられました。
おそらく、「父親たち~」を見たアメリカ人は、もっとそう感じたことでしょう。
しかし、「硫黄島からの手紙」のほうで、日本側の事情が細かに描かれるおかげで、
戦ってるのは、互いに同じ普通の人間なんだ、と気づかされていくのです。
その意味では、やはり両方を観ることをお勧めします。(横)

2006年11月13日

映画「早咲きの花」

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先日、映画「早咲きの花」の試写を観てきました。
豊橋市制100周年を記念して作られた映画で、原作は宗田理。
監督は菅原浩志、主演は浅丘ルリ子。

物語は…海外でピンホールカメラマンとして活躍するシュナイダー植松三奈子が、ある日遠からず失明することを医者から宣告された。三奈子は光を失う前に、自分が幼少時代を過ごした故郷の風景をピンホールカメラに収めようと、豊橋に帰ってくる。彼女は偶然に知り合った高校生の行彦と小枝子に、子供の頃の思い出を語る。それは戦時中、小学生の兄真次やその友人たちと過ごした、輝いていた時間だった…。

作品中、現代の高校生の小枝子が、「豊橋は何もない所と言われます」と言うと、三奈子(浅丘ルリ子)が、「昔はもっと何もなかった。でもとても豊かだった」と言うシーンがあります。
食べ物も着る物もろくにない戦時中ですが、人の心だけは豊かだった、という意味だと思います。確かに、作品で描かれる真次や三奈子の子供時代はきらきら輝いていました。
東京からの転校、泳げない真次への悪友たちの荒っぽい仲間入りの儀式、河原での石投げ合戦、畑でのスイカ泥棒……。たぶん当時どこででも見られた風景なのでしょうが、それがとても魅力的に感じられるのは、おそらくそれが現在は失われてしまったから。
今はある意味、物が豊かになりすぎて、人の手を借りずとも生きていける時代になりました。だから他人の干渉を嫌い、自由の名のもとに自分の中に閉じこもる。
でもほんの少し前まで、一人では生きていけない厳しい時代でした。生きるために、家族はもちろん友人や周囲と力を合わせ、必死で毎日を送った。他人の痛みを自分の痛みとし、自分が泣いている時、一緒に泣いてくれる人がいた。食べ物、着る物に不自由しても、気持ちはとても豊かだったのかもしれない、そんな気がしました。
戦争による残酷な結末はありますが、戦争の悲惨さ以上にこの映画の伝えたかったのは、
本当の意味の豊かさを次代に手渡すということではないでしょうか。
真次や三奈子の子供時代の笑顔から、そのメッセージは十分に伝わってきました。(辰)

2006年06月05日

喧嘩両成敗の誕生

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『喧嘩両成敗の誕生』
清水克行著
講談社選書
1575円(税込)


「喧嘩におよぶ輩、理非を論ぜず、両方共に死罪に行ふべきなり」(今川かな目録)
日本人なら当り前のように使う「喧嘩両成敗」という言葉。
ケンカをした両者に対して、その正否を論ぜず同等の処罰を与える
――というこの法は、考えてみればずいぶん乱暴な法ではないでしょうか
実は「喧嘩両成敗」という仕組みは日本以外ではほとんど例が見られないといいます。
では、この独特な観念はいったいどこから生まれてきたのでしょうか。
著者は、中世の日本人が、我々が考えている以上に荒っぽく、
損害を受けた際には復讐に訴えるのを正当と考えていたこと、
自らの利権を守るためには、自力で戦うしかないと考えていたこと、
それが当時の社会の紛争を激化させてしまう大きな要因となっていたことに着目します。
そこで、戦国武将が秩序を回復するための緊急避難的措置として、
「喧嘩両成敗」の法律をつくりあげていくという過程が細かに記されます。


本書で紹介されている驚くべき制度があります。
それは、江戸時代の米沢藩にあった「指腹(さしばら)」という習俗。
これは、「みずからの切腹に使った刀を遺恨のある者に送りつけ、
ひとたびその刀を受け取ったものは、
異議なくその刀でみずからも切腹しなければならない」というもの。
その後、この習俗は、喧嘩両成敗的システムへとつながっていくのです。


法律の条文としては残らなかった「喧嘩両成敗」ですが、
今の日本人にもその精神は色濃く残されています。
その思想がどのように生まれたのかを探る、非常に興味深い一冊でした。(横)


2006年05月26日

『奇蹟の村の奇蹟の響き』が本になりました

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「歴史街道」に今年3月まで連載されていた秋月達郎先生の
小説『奇蹟の村の奇蹟の響き』が弊所より単行本になり、6月初めに全国書店で
発売されます。
本書は、6月17日公開の映画「バルトの楽園」の関連書籍として、
劇場用パンフレットや同映画のホームページ等でも紹介されています。
内容は、連載時から「泣ける」小説でしたが、今回単行本にまとめるにあたり、
大幅に加筆され、一段と奥行きのあるストーリーとなりました。
主人公は暴れ者だが気のいい俥曳きの岩下松五郎。
彼が密かに想う良家の子女稲垣八重と、
松江豊寿、高木繁やエンゲル、クライなど
実在の板東俘虜収容所の人々を軸に、物語は展開します。
また立木真一や沖野正ら実在の徳島の人々も、単行本ではより存在感を増しました。
私は特に、副官の高木がいい味出していると思います。
本書を読めば、「第九」が日本にもたらされる経緯だけでなく、
人間同士の心が通い合った時に、奇蹟のような出来事が起こるということを
実感できると思います。
ぜひご一読ください。
なお、「歴史街道」7月号でも関連特集を組んでいますので、
こちらもお楽しみに。                        (辰)

2006年05月24日

桜田門外の変の裏に、こんにゃくが!

「えっこんにゃくと日本史?一体どんな関係が・・・」
そう思って手に取った本が『こんにゃくの中の日本史』です。
これがまた、実に意外な話が多くて面白いのです。
みなさん、日々何気なく食べているこんにゃくが、
桜田門外の変に係わっているとしたらどう思いますか?
「井伊直弼はこんにゃくが大好きだった!」とかそういう
腰砕けな答えではなく、もっと重大なことです。
なんと、襲撃犯の資金がこんにゃくから出ていたようなのです。
またそれだけではなく、
太平洋戦争時に開発された風船爆弾の風船部分には、
こんにゃくが使用されていて、非常に気密性に優れていたというのです。
食卓の名脇役(?)がそんなに活躍していたなんて・・・と驚いてしまいました。


ところで、本書を読まれる方に一つだけお勧めしたいことがあります。
こんにゃくも買っておいてください。
読了後、無性にこんにゃくが食べたくなるはず。
ちなみに、私は味噌につけて食べました。(村)


『こんにゃくの中の日本史』武内孝夫著 講談社 735円(税込)

2006年04月17日

栄光なき凱旋

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『栄光なき凱旋』(上下)
真保裕一著 小学館 各1995円(税込)


私の好きな作家の一人、真保裕一氏の新刊です。
ミステリーに始まり、ハードボイルド、山岳小説など幅広いジャンルに挑戦する作家ですが、
今回は太平洋戦争ということで、初めての歴史ものです。
主人公は、ロサンゼルスのリトルトーキョーに住むジロー・モリタ、ヘンリー・カワバタ、
そしてハワイ在住のマット・フジワラの3人の日系二世たち。
彼らの運命は、12月8日の日本による真珠湾攻撃により、大きく変わっていきます。
アメリカ国籍を持っているにも関わらず、いわれなき迫害を受ける日系人たち。
そのなかで彼らは、アメリカという国への忠誠を証明するために、
自らアメリカ軍に入隊し、父母の国である日本と戦うことを選ばざるを得なくなっていきます。
日本語能力を買われ、南太平洋で日本人捕虜の尋問の任務にあたるジロー。
そのジローとともに、日本を罠にかける作戦に投入されるマット。
日系人部隊の一員として、激戦のイタリア戦線に送られるヘンリー。
そして彼らが戦場で出会うとき、さらに苛酷な運命が…。


日本の真珠湾攻撃の後、アメリカ本土やハワイの日系人たちがどんな扱いを受けたか、
二つの祖国を持つ日系二世たちの苦悩、そして彼らが誇りを失わずに生きるために
いかなる選択肢を取ったのか、を丁寧に描いていきます。
「日本人」とは、「愛国心」とは何かを正面からとらえた重いテーマでありながら、
サスペンスの要素も盛り込み、きちんとエンタテインメントとして成立しているのが
真保氏の面目躍如というところ。
最近は、福井晴敏氏や古処誠二氏など、エンタテインメント界の若手作家が
「戦争小説」を描くことが増えています。
戦後六十年たったいま、新しい世代が新しい視点から戦争を捉え直そうとする動きが
高まっているような感じがします。いろいろと読み比べるのが楽しみです(横)

2006年04月14日

映画「バルトの楽園(がくえん)」試写会

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一昨日、6月17日公開の映画「バルトの楽園」の試写会に行ってきました。
内容は日本で初めて第九が演奏された板東俘虜収容所の物語……といえば、
本誌で連載されていた小説「奇蹟の村の奇蹟の響き」でご承知かと思います。
映画の主役は松平健演じる収容所長・松江豊寿。松平健といえば、「主人の顔も
見忘れたか!」「うっ、上様!」でお馴染みの暴れん坊将軍、最近はマツケンサンバ
の大ブレイクで話題となりましたが、本作品中は常に温和な表情の、しかし内には
会津武士の誇りを秘めた松江所長を好演しています。
最初はぎこちなかったドイツ人俘虜たちが、板東(徳島県)の人々と交流し、
次第に表情が明るくなっていく様子がていねいに描かれ、やがて人間の絆の
素晴らしさを感じさせるエンディングへ。
観終えて、とても気分良く会場をあとにしました。
なお、本誌に連載された「奇蹟の村の奇蹟の響き」が6月初めに単行本として
発行される予定です。映画の関連図書としても紹介されますので、
ぜひご一読ください。                        (辰)