ひこばえに咲く
発売日
2013年11月06日
判 型
四六判上製
ISBN
978-4-569-81506-0

ひこばえに咲く

著者 玉岡かおる著 《小説家》
主な著作 『負けんとき』『お家さん』『天涯の舟』(以上新潮社)
税込価格 1,870円(本体価格1,700円)
内容 りんご畑の納屋に眠っていた150枚の絵――。パリと津軽、戦中と現代、時空を超えて、物語は紡がれていく。著者渾身の書き下ろし長編。



 「描くためだけの絵もあるんでねえか」

 津軽の大地が生んだ画家ケン。長年、彼が描き続けてきた150枚もの絵は、一枚も売られることなく、りんご畑の納屋のアトリエに眠っていた――。

 父のギャラリーが閉店し、そこで働いていた香魚子は自分の行く末に不安を抱えるなか、ひょんなことからケンの絵と出会う。その絵に衝撃を受け、津軽の地に飛んだ彼女を迎えたのは、ケンを「オヤブン」と慕う、絵描き仲間の女性フクであった。

 ケンの個展を銀座で開催するため、フクの協力を得て奔走する香魚子。だが、ケンとフクの二人には、戦前から現在に至る“知られざる過去”があった。

 「ひこばえ」――切った草木の根や株からはえ出た芽の如く、一つのことが終わりかけても、そこからまた新たに続いていく。パリと津軽、戦中と現代……時空を超えて、もう一つの人生が芽吹いていく。

 芸術とは、人間の愛とは、人生とは。著者2年ぶりとなる、渾身の書き下ろし長編小説。