従属国家論
発売日
2015年05月15日
判 型
新書判並製
ISBN
978-4-569-82539-7

従属国家論
日米戦後史の欺瞞(ぎまん)

著者 佐伯啓思著 《京都大学名誉教授》
主な著作 『自由と民主主義をもうやめる』(幻冬舎新書)
税込価格 858円(本体価格780円)
内容 稀代の思想家が、「戦後」の始まりに何があったのか、「戦後」はどのように生み落されたのかを日米間の非対称な構造から探る。



 われわれの置かれている「今」を理解するためにも、少なくとも「あの戦争」、そして「あの戦争の残したもの」から始めなければどうにもならないだろうと思うのだ。(「あとがき」より)

 

 昨今メディアを賑わせている集団安全保障、憲法改正論議には、現代日本をつくった「戦後の初発」という視点がすっぽりと抜け落ちている。

 日本の「戦後」とはいかにして始まったのか。実はそこには、大いなる欺瞞(ぎまん)が隠されていた。それを直視しない限り、ほんとうの憲法改正論議などできないのだ。

 

 本書では、戦後の始まりから平和憲法、構造改革からTPPに至るまで「戦後日本」を規定してきた「日米の非対称的な二重構造」を丹念に描き出す。

 なぜ、保守も革新も自ら進んでアメリカに追従してきたのか。

 なぜ、沖縄の基地はやめられないのか。

 なぜ、規制緩和の大合唱が起きるのか。

 それはわれわれが、意識している、いないにかかわらず、外交から政治・経済政策、言論に至るまで常にかの国の顔色を窺わなければならない「従属国家」だからである。

 

 だが、覇権争いとでも称すべき冷戦後の世界において、こうした「意識的/無意識的なアメリカ追従」はもはや最良の道ではなくなった。戦後70年間日本人が抱え続けてきたディレンマを鮮やかに切り取り、これから我々が進むべき方向を指し示す。

 現代を代表する思想家が放つ、待望の戦後論!

 

 第1章 漂流する日本人

 第2章 「戦後レジーム」が抱えるふたつのディレンマ

 第3章 「あの戦争」とは何だったのか

 第4章 憲法を制定するのは誰か

 第5章 「戦後レジーム」はこうして成立した

 第6章 「ガラスでできた鏡張りの部屋」の中で

 第7章 「ごっこの世界」の中にある日本

 第8章 日本を縛る「非対称的な二重構造」

 第9章 「近代日本」という悲劇