淋しいおさかな
発売日
2006年09月01日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-66682-2

淋しいおさかな

著者 別役実著 《劇作家》
主な著作 『マッチ売りの少女』『諸国を遍歴する二人の騎士の物語』(以上三一書房)
税込価格 628円(本体価格571円)
内容 戯曲『マッチ売りの少女』などで小劇場演劇の先駆者として活躍した著者が、読者の虚をつくような結末を用意した、大人のための童話集。



 今から30年ほど前、「おはなしこんにちは」というNHKの幼児向けの人気番組があったのを覚えているでしょうか。そこで朗読された童話が、本書に収められた、別役実氏の書き下ろし童話でした。

 表題作の「淋しいおさかな」をはじめ、「煙突のある電車」「猫貸し屋」「穴のある町」「可愛そうな市長さん」など、22作に共通するのは、穏やかな始まりと、虚をつくような結末、あるいは哀愁漂う結末など、いわゆるハッピーエンドで終るような童話ではなく、大人の鑑賞にたえ得る童話という点でした。それは、この作品集が単行本として刊行された当時、大人の支持を受け、版を重ね、復刊を望む声が多かったことでもわかると思います。まさに、本書は「大人のための童話集」の走りだったのです。

 当時の番組をリアルタイムで見た子供たちは、今、40代の働き盛り。かつて自分が子供だった頃を、本書を読んで思い出してみてはいかがでしょう。名作、待望の復刊。