頁数/仕様
176ペ-ジ / 縦:19cm 横:13.1cm
初版
2011年5月
在庫
在庫あり

これって、大人の発達障害?
人付き合い、家事がうまくいかない理由

人間関係やコミュニケーションが「うまくいかない」のは、大人の発達障害が原因かもしれません。発達障害についての知識を深め、共に生きるためのヒントを紹介します。
著者(肩書) 佐々木加奈
税込価格 1,296円 (本体価格:1,200円)
対象 一般
頁数/仕様 176ペ-ジ / 縦:19cm 横:13.1cm
初版 2011年5月

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本書を購入していただいて、ありがとうございます。
PHP研究所の編集者である小笠原綾さんに執筆の依頼を受けて、大人の発達障害の当事者として、一冊の本を書き上げることができるのか悩んだこともありました。しかし一方で、言葉を話すより文章を書くほうが自分にとっては楽で、大丈夫だという安心感もありました。今まで自分のホームページやブログ、メールマガジン、地域の会報誌への投稿など、さまざまなところへ寄稿したことをもとに、大人の発達障害について、読者のみなさんが困っていることや、悩んでいることを少しでも解決できればと思い、お引き受けしました。
しかし、この書籍の執筆作業はかなりハードでした。なぜなら、私自身のことだけではなく、その他の発達障害の人のことも書く必要があったからです。ですので、本書は同じく発達障害の当事者である私の夫にも協力をお願いして執筆してもらっています。私が下書きしたものや話したりした内容を、文章に起こしたりまとめてもらったりしました。書籍の冒頭になりますが、この場を借りて夫にはあらためて感謝を申し上げます。彼がいなければ、一冊の本を書き上げるのは難しかったと思います。
現在、大人になってからLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症(アスペルガー症候群を含む)、広汎性発達障害など、「発達障害」と診断される大人が増えてきました。実は、筆者である私もIQ84のアスペルガー症候群と診断されています。非言語的な部分と五感の感覚に関して、最重度に近いくらいの自閉症でもあります。
一般的には、大人になると少しずつ発達障害の症状は消えていくと考えられています。さらに、つい最近までは、大人の発達障害はあり得ないとも考えられ、それが常識となっていました。しかし実際には、大人の発達障害の方は数多くいらっしゃいます。
発達障害の大人のなかには、その特性を個性として社会に適応している人がいます。ある人はIT業界でプログラマーとして仕事をし、ある人は小説家、科学者、大学の教授、研究者、芸術家として生計を立てて生活しています。例えば、ADHDのものごとを次々に行動に移すという特性を活かして、企画を立案する仕事や講演家など、積極性やスピードが求められる仕事をしている人もいます。また、自分の発達障害の特性を知ったうえで、周囲からの支援を受けながら仕事を続けている人もいます。
このように社会に適応している発達障害の人がいる一方で、発達障害の特徴がネックとなり、就職することや自己実現することに難しさがある人もいます。職場で作業が遅いために上司や同僚に怒られたり、「報告・連絡・相談」ができずに困ってしまう人もいます。周囲の人が暗黙の了解にしていることがわからなかったり、プライドの高さゆえに、行動に不器用さがあったり、作業に時間がかかる人もいます。
発達障害と診断されていても、全員が共通して困っていることは、案外少ないものです。私も私の夫も発達障害と診断されていますが、それぞれ困っている部分は異なります。なかには、困っていることをさほど認識せずにいる人や、困っていることを認識して、いろいろな道具や他者のサポートを使って工夫をして生活している人もいます。もっとも、このような方はうつ病や統合失調症など、精神的な病にかからない限り、発達障害の診断を受けることは少ないように思います。
今回、対象とする読者の方は、発達障害をもつ本人やそのご家族の方、これから医療機関で発達障害の診断を受けようとしている人、自分のパートナーが発達障害かもしれないと思っている人、ちょっと変わった人、何かしら生きづらさを感じている人、仕事がうまくできない人、そのような人たちを職場に抱えている上司や同僚、部下方にも読んでいただきたいと思います。そのため、各項目にいろいろな事例をのせています。ただし、その事例がすべての発達障害の人に完全に当てはまるわけではありません。本書に書かれていることを基本にして、自分やその人に合わせたアレンジや工夫、配慮をしていただくことを望みます
本書があなたにとって一つの参考になればうれしく思います。  (「はじめに」より)

【PART1】もしかして、私は大人の発達障害?
1.あなたは大人の発達障害かもしれない?
2.大人の発達障害について知る
・発達障害の原因
・私の場合
・夫の場合
・発達障害の診断
3.大人の発達障害の特徴
・複雑な仕事が困難
4.大人の発達障害~学習障害・自閉症スペクトラム障害・注意欠陥多動性障害~
・複数の症状を併せもっている
・主な大人の発達障害
◆大人の発達障害〈1〉学習障害(LD)
・学習障害とは
・学習障害の症状
◆大人の発達障害〈2〉自閉症スペクトラム障害(高機能自閉症・アスペルガー症候群など)
・自閉症スペクトラム障害とは
・ストレスを感じやすい
・顔の認識が難しい
・複数の困難さをもっている
・体を動かすことに不器用さがある
・体温調整の苦手さがある
◆大人の発達障害〈3〉注意欠陥多動性障害(ADHD)
・注意欠陥多動性障害とは
・片づけられない大人たち
・時間にルーズになる
5.発達障害の大人は結構多い
・気づきにくい大人の発達障害
・見えない障害
・発達障害を相談する場所
・診断は難しい
6.女性の発達障害
・女性は不安を抱えやすい
・「女の仕事」がプレッシャーになる
・月経時につらくなる
・家事が段取りよくできない
・発達障害の主婦が困る家事
・片づけのコツ
・だれかに頼る
・子育てのつらさ

【PART2】発達障害かもしれないあなたが、社会で生きていくために
1.安心して人と付き合うために
・理解者を得る
・「発達障害者支援センター」を利用する
2.自分の強みと弱みを知る
・強みと弱みを知る
・自分を知って地域と付き合う
3.自分だけの時間を作って無理をしない
・「世間モード」と「自分モード」を使い分ける
・それぞれの症状に合わせた仕事を選ぶ
4.会話で困らないために
・真剣に受け止めすぎない
・一般的な会話が難しいときは
・話のピントを合わせる
5.コミュ二ケーションスキルを身につける
・相手を察する難しさ
・コミュニケーションについて学ぶ
・コミュニケーションツールを活用する
・5W1Hを具体的に伝える
・伝えたいことに焦点を当てる
6.自分の障害を受け入れる
・診断に落ち込むこともある
・診断をゆっくり受け入れる

【PART3】発達障害かもしれないあなたが、安心して生きていくために
1.心を落ち着かせるために
・自分に合った運動法で体を動かす
・癒しグッズを取り入れる
2.感情修復方法
・三つの感情修復方法のタイプ
・睡眠で疲れを回復する
・肩の力を抜く
3.自尊感情を上げるために
・感謝の手紙を書く
・体調を把握する
・休むことも仕事の一つ
4.こだわりを安定につなげる
・こだわりを仕事に活かす
・こだわりを生活に活かす
5.安定した生活を送るために
・自分だけの「第一言語」を使う時間
・生活リズムを整えるために
・とにかく休む

【PART4】発達障害かもしれないあなたが、日常生活を送るときの工夫
1.安定した生活を送るために
・タイムスケジュールを作る
2.仲間をもつために
・同じ立場の人たちと交流する
・愚痴を言い過ぎない
・仲間が見つからなかったら
・実際に会って話す
・話の聞き方

【PART5】もしかしてこの人、発達障害?
1.身近な人が発達障害だったら
・発達障害の人を客観的に見る
・「あうんの呼吸」を求めすぎないこと
・「通訳」や「交渉人」を入れる
・本人のわかりやすい表現を使う
・本人のエネルギーに合わせすぎない
・エネルギーを奪われたときは
・保護者になりすぎない
2.活躍できる場所を見つける
・得意なところを見つける
・社会に貢献するために
・本人の「こだわり」を活かしていく