頁数/仕様
184ページ / 縦:18.8cm 横:12.9cm
初版
2013年6月
在庫
在庫あり

1~6歳 子どもにさせていいガマン・わるいガマン
「ガマンしなさい!」と怒らずにすむ

「早く!」「ダメ!」 当然のようにさせているガマンの大半が、実は、させる必要がありません。不要なガマンと必要なガマンとはどんなものなのかを子どもの年齢別に紹介しています。
著者(肩書) 植松紀子《植松メンタルヘルス・ルーム主宰》
主な著作
編集等
税込価格 1,320円   (本体価格:1,200円)
対象 1~6歳の子どもの保護者
頁数/仕様 184ページ / 縦:18.8cm 横:12.9cm
初版 2013年6月

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◆「ガマン」はもともと、いい意味ではなかった

「ガマン」というのは、日本では精神的な美徳のように考えられていますが、じつは、もともと、あまりいい意味の言葉ではありませんでした。
ガマンは、漢字で「我慢」と書きますが、これは自分(我)に執着することから起る慢心を意味する仏教語のひとつで、「高慢」や「驕り」と同じ意味をもっていたのです。
今では、これが「耐え忍ぶ」というよい意味に転じて使われているので、親が「ガマンはいいこと」と思いこんでしまうのも、無理はありません。
でも、その語源が示す通り、子どもに不必要なガマンをたくさんさせていると、自分のことばかり考えるようになるなど、その成長をゆがめてしまうことがあるのです。

プロローグでも書いたように、子どもに必要なガマンはそんなに多くはありません。
親がガマン、ガマンと言い続けている場合は、子どもにとって不必要なガマンをさせてしまっているのではないか? と疑いましょう。

◆必要なガマンは、強さと優しさを培う

もちろん、社会のなかで生きていくためには、ルールを守り、ときにはガマンすることも必要です。
必要な場面で必要なガマンをしていると、いろいろな力が養われます。
粘り強くじーっと耐えたおかげで、いい方向に向いてきた、という体験をしたら、「自分だって、ちゃんとガマンできるんだ。耐えるのはつらいけど、粘り強く待ってよかったな」
「すぐにかんしゃくを起こさなくてよかった。おかげで人間関係がうまくいった」
などと、自信がもて、それが生きる勇気につながっていきます。
「自分は大丈夫」と思えると、人としての芯がしっかりしてきます。すると、多少の困難があっても、乗り越えられる強さが得られるのです。
芯のしっかりした人は、自分の人生をちゃんと築いていくことができるでしょう。
今の社会では、「自分が金持ちになればいい」「自分が幸せになればいい」と、人のことより自分のことを考える風潮が強いように感じます。
そうではなく、やはり日本という社会のなかで、さらには、世界という地球規模で、自分がどうしたら役に立つのか、貢献できるのかを考えられる人間になってほしいと思うのです。
必要なガマンがちゃんとできる人は、自分が行動することで、他の人が幸せになるように、と考えられる優しさのある人間に育っていくのではないかと、私は信じています。
人としての強さと優しさと培う。
それが、「ガマン」の生み出す力ではないでしょうか。

この本を読むにあたって、「子どもにガマンさせるにはどうしたらいいか?」というテクニックを知りたいと思った方もいらっしゃるかもしれません。
でも、子どもに必要なガマンをさせる力をつけるというのは、親が上から押さえつけたり、テクニックを駆使したりすることによってではなく、むしろ親が「待つ」というガマンをすることが、とても重要なのです。
お母さんやお父さんが、ガマンして子どもの成長を見守ることこそ、子どもが適切なガマン力をつけるいちばんのポイントです。
子どもの発達を見守りながら、親が適切な態度や言葉かけをして、子どもをサポートする。親がそんな姿勢で子どもと付き合えば、必ずや、適切なガマン力がついていくのです。  (「エピローグ」より)

《プロローグ》
◆「ガマン」を誤解していませんか?
◆本当に必要なガマンは三つだけ
◆不必要なガマンをさせないために
◆不必要なガマンは将来にわたって影響が
◆ガマンのさせ方は年齢によって変化する

【PART1】一人で歩き始めた1歳児
<特 徴> 自我が芽生え、自己主張が始まる
<場面1>道路に飛び出そうとする
・危ないことをしたら、必死で止める
<場面2>約束したことを守らない
・「約束したでしょう」とガマンさせる
<場面3>人のおもちゃを取る
・他の子のものが欲しい! という気持ちをそらす
<場面4>物を投げる、走り回る、食べない
・発達上、必要なトレーニングだと考える
<場面5>約束していないことを守らない
・守ってほしいことは、事前に言いきかせておく

【PART2】なんでも自分でやりたがる2歳児
<特 徴>「自分で!」と自己主張が激しくなる
<場面1>やんちゃをする
・「してはいけない」と言葉に出してやめさせる
<場面2>時間になっても、遊びをやめない
・あらかじめ、「時間になったら帰る」ことを伝えておく
<場面3>公共の場所で騒ぐ
・事前に約束し、「わかった」「うん」とやり取り
<場面4>下の子に意地悪をする
・頭ごなしに叱らない
<場面5>お母さんのマネっこをする
・気の済むまでさせてあげる
<場面6>なんでも一人でやりたがる
・一人でやりたい気持ちを大切に
<場面7>家の中でうるさく騒ぐ
・外で適度に遊ぶ
<場面8>友だちとトラブルを起こす
・友だちのお母さんと様子を見守る

【PART3】話せば伝わる3歳児
<特 徴>集団のなかでの生活が可能になる
<場面1>順番を守らない
・「お友だちが使っているでしょ」とガマンさせる
<場面2>食事のルールを守らない
・家庭のルールを教え、きちんと守らせる
<場面3>人を傷つける言葉を口にする
・言葉は人に影響を与えるものだ、と教える
<場面4>園に行きたがらない
・子どもの気持ちに寄り添って“行く”“行かない”を決める
<場面5>ダラダラ着替えている
・ガミガミ怒らず、手伝ってやる
<場面6>「明日行こうね」と言っているのに「イヤだ」とぐずる
・「明日」ではなく「今日は行けない」とはっきり言う

【PART4】しつけがいのある4歳児
<特 徴>家庭や集団のルールがわかってくる
<場面1>自分勝手にしゃべる
・声の大きさ、速さなどを、「いい加減」に導く
<場面2>「ごはん!」「ゲーム!」と泣きわめく
・ダメなものはダメ、と教える
<場面3>片付けをしない
・「やるべきことはしましょう」と教える
<場面4>弟・妹に腹を立てる
・年上の子の気持ちをくんであげる
<場面5>おしっこ、ウンチなどと口にする
・無理に「言っちゃダメ」と止めなくていい

【PART5】心揺れる5歳児
<特 徴>情緒の発達が目覚しい
<場面1>自分より「できない」子を見下す
・「だめ」ときちんと教える
<場面2>悪い言葉を使う
・事の真偽を確かめて、白黒をつける
<場面3>周りの迷惑を考えない
・「あなただったらどう思う?」とガマンさせる
<場面4>すねたり、怒ったりする
・5歳は複雑な感情が表れ始める時期だと受け止める
<場面5>お母さんにベッタリ甘える
・子どもと向き合う時間を作る
<場面6>赤ちゃん返りする
・やりたいように、やらせてあげる

【PART6】幼児は卒業6歳児
<特 徴>性別がきちんと認識できる
<場面1>家のお手伝いをする
・お手伝いしたい気持ちを、うまく誘導する
<場面2>絵や字をかかない、覚えない
・子どもが興味をもつ時期を待つ
<場面3>お稽古事を嫌がる
・気の進まないお稽古事はやらなくていい
<場面4>友だちの輪に入らない
・お母さん同士がまずは友だちになる

《エピローグ》
◆「ガマン」はもともと、いい意味ではなかった
◆必要なガマンは、強さと優しさを培う