頁数/仕様
192ページ / 縦:21cm 横:14.9cm
初版
2014年8月
在庫
在庫僅少

孫の心をわしづかみにするお話
何度でも夢中になれる読み語り名作選

小学生に人気で、お孫さんへの読み聞かせにもおすすめな古今東西の名作・傑作11作品を厳選したお話集。総フリガナなので、お子さん一人でも楽しく読むことができます。
著者(肩書) 監修:増田喜昭《子どもの本専門店メリーゴーランド店主》
主な著作 『子どもの本屋、全力投球!』(晶文社)
税込価格 1,404円 (本体価格:1,300円)
対象 幼児~小学校低学年のお孫さんのいる方
頁数/仕様 192ページ / 縦:21cm 横:14.9cm
初版 2014年8月

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人は、いったいいつごろから“お話”を楽しめるようになるのでしょう。

僕が小さかったころ、父親が入院していたこともあって、大工だった祖父は僕をそばに置き、自分は手仕事をしながら、口から出まかせのお話をしてくれていました。
ほとんどが、僕らしき小さな男の子が主人公でした。いつも、「あっ、あぶない!」というところで、天狗やキツネが登場してきて、僕を助けてくれるのです。山の神のときもありました。
そののち、物心ついてから、祖父の語るお話が、『三枚のお札』や『かちかち山』、『桃太郎』などの昔話に少し似ていることに気づきましたが、僕にとっては、祖父の語った“お話”のほうが“本物”でした。

そうなのです。
幼い子どもにとって必要なのは、できあいのお話ではなく、自分の親しい大人が肉声で語ってくれる、ぬくもりのあるお話なのです。
小学生の高学年くらいになって、“なまいき”だった僕は、しょっちゅう兄や姉とけんかをして、親にも叱られ、テントをかついで裏山に家出していました。もっとも、山の上から自分の家の屋根が見えるほど近いところだったのですが、あたりが真っ暗になっても、僕は少しも怖くありませんでした。山にいるキツネや天狗が、僕の強い味方であったからなのです。とはいえ、姉が家からおにぎりとお茶を届けてくれるころには、僕はもう家に帰りたくなってしまうのですが……。

あるとき、私の店・メリーゴーランドにやってきたおじいさんが、「うちの孫は、朝から晩までゲームばかりしておる。少しは本を読まんかと叱ってやるんじゃが、あれはどうしたらいいのかね」とたずねてきました。
「叱っちゃいけませんよ。ゲームに負けない、おもしろい本を探して、お孫さんに読んであげてください。おじいさんの読んでくれた本は、一生の思い出になりますよ」
そう言いながら僕は、そのお孫さんがどんなお話を喜ぶか考えて、本を探しました。そして、そのおじいさんと2人で選んだのは『ふるやのもり』でした。
しばらくして、そのおじいさんがまた店にやってきました。
「えらいことになってしもうた。あれから毎晩、あの本を読まされることになった。わしゃ疲れたよ。それに、もうあの話には飽きたから、何か別の本、あれと似たような本はないかね」
僕は喜んで2冊目の本をすすめました。そのおじいさんは、その後ずっと、店に通ってくれました。そのお孫さんが高校生になるまで、“本のプレゼント”は続いたのですから驚きです。

1日のうちの、わずか5分でも10分でも、眠る前の子どもたちと“お話”を共有することのできる大人は幸せです。
ここに僕が選んだお話は、開店以来40年ちかく、子どもたちに読んであげたり、大人にすすめたりしたもので、僕のお気に入りのものばかりです。
どのお話からでもけっこうです。おもしろそうだな、と思われるものから読んであげてください。どれかひとつでも気に入ってもらって、お孫さんに何度も「読んで、読んで!」とせがまれることになったら、そのお話はもう、あなたたちのものです。とても大切で特別な“お話”の誕生です。
そして、その“お話”こそ、僕を暗闇の恐怖から守ってくれた、あの天狗やキツネのように、子どもの守護神のように、心の中にずっと生き続けるものなのです。
決してうまく読む必要はありません。いつものおばあちゃん、おじいちゃんの声でいいのです。その子のじぃじ、ばぁばの声こそ、彼らが一番安心して、冒険の世界に飛び込める守り神なのです。

時々、「こんな残酷なお話は、子どもに読ませたくない」という声も聞きますが、お話だからこそ、残酷さを学ぶことができるのだと思います。むしろ、そこから他の人のことを思いやる優しさが育つのです。読んで、すぐに答えや正しさを求めるのではなく、その状況を、読み手と聞き手が一緒に体験し、迷い、悩むことが大切なのです。

子どもの身体にとって、いろんな食べ物が必要なのと同じように、いろんなお話が子どもの心を育てます。怖いお話にも不思議なお話にも、口から出まかせのウソのお話にも、それを語る人の中に真実が隠されているのです。たとえ、ウソをついてでも伝えたい真実が、そこにあるのです。

子どもがそのお話にのめり込むとき、子どもは、作者と同じくらい、その物語を“創って”いるのです。想像力というのは、単なる空想ではなく、そこに存在させる力です。だからこそ、いつまでも心に残るのでしょう。
そして、その力は、彼らの人生に大いに役立つことになるのです。  (「はじめに」より)

・いなかのねずみとまちのねずみ

・おやゆびひめ

・花さかじいさん

・三枚のお札

・となりの家の小学生は

・ふるやのもり

・しっぽつり

・歌うふくろ

・ブニルが、シミリに、むにむにした話

・オオカミと七ひきの子ヤギ

・銀のしずく ふるふる まわりに 金のしずく ふるふる まわりに