頁数/仕様
176ページ / 縦:18.8cm 横:12.9cm
初版
2015年5月
在庫
在庫あり

甘えれば甘えるほど「ひとりでできる子」に育つ

甘えは自尊感情や、思いやる気持ち、やる気を育てるために欠かせません。本書では、なぜ甘えが必要なのか、甘える子どもへの対応、甘やかす周囲への対応などを紹介します。
著者(肩書) 菅野幸恵《青山学院女子短期大学子ども学科准教授》
主な著作 『エピソードで学ぶ乳幼児の発達心理学』(新曜社)
税込価格 1,296円 (本体価格:1,200円)
対象 乳児~小学校低学年の保護者
頁数/仕様 176ページ / 縦:18.8cm 横:12.9cm
初版 2015年5月

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私は普段、短期大学で幼稚園教諭や保育士を目指す学生に心理学を教えています。最近、子ども時代をちゃんと子どもとして過ごしてこられなかったのではないか、幼少期に十分甘えられなかったのではないか、と思う学生に出会うことが多くなりました。それは心身の不調という形で表れます。一見順調に学生生活を送っているように見えた学生が、どうしても朝起きられなかったり、電車に乗ると途中で気分が悪くなったり、大学に来ても大勢の学生がいる教室に入れなかったり、授業に出られなくなります。不調の内容はさまざまですが、そのような学生が抱える問題の背景に親子の問題が少なからずあることに気づきました。学生の話を丁寧に聞いていくと、親が抱える問題のために、小さい頃から自分が家族を支えてきたこと、厳しく育てられたために、自分の思いは押し殺して我慢ばかりしてきたこと、親の望む「いい子」になるために懸命に努力してきたことなど、本来だったら、たっぷり甘えられる時期に十分甘えてこなかったのではないかと思えることが出てくるのです。そして幼少期に十分甘えられなかったことが、青年期になって心身の不調という形で出てきているのではないかと思えたのです。さらに、学生の話を聞いていくと、親自身も幼少期に十分甘えられなかった現実があることも垣間見えてきました。そのことは、私たちが生きるうえで「甘え」がいかに重要な役割を担っているのかを改めて気づかせてくれました。
私はこれまで乳幼児期の親子関係に注目して研究を続けてきました。お母さんやお父さんたちとお話をしていると、子どもを甘えさせたら、わがままな人間になってしまうのではないかという不安をもっておられる方が多いことに気づきました。わがままに育ててはいけないという思いを強くもっておられるように感じたのです。お母さんやお父さんが不安に思う背景には「甘え」に対する誤解があるのではないかと感じました。甘えることイコールわがままになるということではありません。
本書では、子育て中の方に読んでいただくことを念頭におき、甘え(られ)ることがなぜ重要かについて、とくに乳幼児期の甘えに注目して述べていきます。まず、第1章では、なぜ甘えが重要かについて、信頼関係の成立や自己肯定感との関連から述べていきます。第2章では、年齢別の甘えのありようを示しながらその対応について述べます。第3章では、甘えることと、甘やかすことの違いについて考えていきます。第4章では、周囲の人の甘やかしにどう付き合ったらいいかについて述べていきます。また各章のなかで、個別に取り上げたほうがよいだろうというトピックスについては、事例やコラムとして解説しています。
なお本文中に出てくるエピソードは調査などで見聞きしたことに基づいていますが、個人が特定できないよう事実関係を変えて紹介しています。人物名はすべて仮名です。  (「はじめに」より)

【第1章】甘えることで人は育つ
■あなたは甘えてきましたか?
・赤ちゃん部屋のお化け
・甘えられなかった記憶
・親になること
・生き延びてきた自分をねぎらう
・今、甘えられる人はいますか

■「甘え」は感情
・甘えとは感情である
・受け入れてくれる相手がいるから甘えられる
●コラム…ほぼよい母親
・信頼関係の成り立ち
・ネガティブな感情も受け止められる関係
・自己肯定感を育む
・他者を大切に思う気持ち
・人は人との関係のなかで生きている
・甘えられなかったら……?
・甘えと妬み
●コラム…赤ちゃん返りは健康的な甘え
・甘える相手はだれでもいい

■人間は依存しながら生きている
・自立とは依存の形を変えること
・自立を急かすことが甘えを奪う
●コラム…○○力
・複雑な人間関係を生きること
●コラム…関係を維持するために起こるいじめ
・社会的孤立を防ぐ
●コラム…しょうがいのある子どもの甘え

【第2章】年齢別甘えのケーススタディ
■乳児期(誕生から1歳半頃)の甘え
・いのちのはじまり
・未熟な状態で生まれる赤ちゃん
●コラム…赤ちゃんは泣くことが仕事
〈事例〉泣き止まない子どもを目の前に
・赤ちゃんの要求に無条件に応えること
・先回りは子どもの感覚を育てない
・おとなに手をかけさせる子は悪い子ではない
・親に対する信頼感をベースに世界を探索する
〈事例〉危ないものに近づこうとする子どもにどう対応したらいい?
〈事例〉いたずらはどこまで許容する?
・親が世界を知るための手がかりとなる
・同じものに注意を向けるということ
・ピンチを察すること

■1歳半頃から3歳の甘え
・「私」の芽生え
・感情的に対応してしまっても大丈夫
・子どもとの関係の変化
・「ノー」と言えることの意味
・ママじゃなきゃダメ
〈事例〉甘いものばかり食べたがる
〈事例〉「ご飯食べたくない」など食べ物の好き嫌いを言う
〈事例〉夕食の準備中に「あれして」「これして」とまとわりつく
〈事例〉「抱っこ」「おんぶ」をせがむ
〈事例〉寝るとき母親の身体の一部を触らないと寝られない
〈事例〉指しゃぶりをやめさせたほうがよい?
・ひとりでいられるようになる
・私的な世界の自覚
〈事例〉うそをつく
〈事例〉友だちとのトラブル

■幼児期後半(4歳、5歳)の甘え
・手が離れたと思っても
・集団生活に入ること
〈事例〉「幼稚園に行きたくない」と言う
〈事例〉スキンシップを求める
〈事例〉どうしても甘えが受け入れられない
●コラム…家のなかに外のピリピリを持ち込まない
〈事例〉「お母さんと一緒に寝る」と言う
〈事例〉ひとりでできることを「やって」と言う
〈事例〉うまくいかないことを「お母さんのせいだ」と言う
〈事例〉きょうだいげんかをする

■学齢期の甘え
〈事例〉「今日は学校に行きたくない」と言う
●コラム…フリースクール
・なんでも学校に任せない
〈事例〉「朝寝坊するから起こしてほしい」と言う
〈事例〉小学生になってもおねしょをする
〈事例〉わからないことがあると、すぐ答えを聞く
〈事例〉自分からやりたいと言って始めた習い事を「やめたい」と言う
〈事例〉ゲーム機を買ってほしいとねだる

【第3章】甘えと甘やかし
■甘えと甘やかしの大きな違い
・甘やかしは親の都合で行なわれる
・甘やかしは親の甘え
・放任と見守り
●コラム…愛と無関心
・待つということ
●コラム…情報化社会と子育て
・甘えさせるということ
・ほめることの難しさ
・甘やかしは条件付きの愛
・いいなりと甘やかし
●コラム…試し行動
・なぜ甘やかすのか

■しつけと甘え
・しつけとは
・個別性と共同性
●コラム…子どもをイヤになること
・甘える人がしつける人
●コラム…虐待としつけ(1)
・行為の善し悪しを伝えるのがしつけ
・子どもの気持ちを受け止めること
●コラム…虐待としつけ(2)
・グレーゾーンの関わり
・親が見せる欠点や弱さ
●コラム…しつけと体罰
・過保護はわがままになる?
・過剰干渉が子どもをダメにする
・頭ではなく身体で育児を
〈事例〉ひとり親の場合

【第4章】甘やかす周囲とのかしこい付き合い方
■祖父母の甘やかし
・いまどきの祖父母
・祖父母にとっての孫
・甘やかす祖父母の場合
〈事例〉会うたびに祖父母がおもちゃを買い与えてしまう
・口うるさい祖父母の場合
・しつけの方針が一貫していなくて大丈夫?
・干渉しない祖父母の場合
・あなたと親の関係を見直してみましょう

■夫の甘やかしをどうするか
・まずは夫婦仲良く
●コラム…セックスレスは夫婦の危機
・なぜ甘やかすのか
・夫も子育ての当事者であること
・育児休暇のすすめ
・働き方を見直してみる
●コラム…離島に見る子育てのあり方
●コラム…父親は子どもをイヤにならない?
・いろいろな対応をするおとながいることの意味

■ここからは少しお父さん向けの話になります
・妻の話を聞きましょう
・妻の精神的なサポートを
・父親にもできること、父親だからできること