頁数/仕様
184ページ / 縦:18.8cm 横:12.8cm
初版
2015年3月
在庫
在庫僅少

徘徊・事故・火の不始末
「認知症トラブル」を防ぐためにできること

徘徊、万引き、交通事故、火の不始末……。認知症の家族が引き起こしたり、巻き込まれたりするトラブルとその対応策を、豊富な事例をもとにわかりやすく紹介しています。
著者(肩書) 監修:公益社団法人 認知症の人と家族の会
税込価格 1,296円 (本体価格:1,200円)
対象 一般
頁数/仕様 184ページ / 縦:18.8cm 横:12.8cm
初版 2015年3月

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■監修にあたって

認知症が、いよいよ身近なものになってきました。国民の4人に1人が65歳以上の高齢者であるいま、近所を見渡せば、何軒かのうち1軒は、認知症の家族がいる家庭、という状況です。
認知症の人が増えるにつれ、そのトラブルもまた増えています。記憶に新しいところでは、認知症で徘徊している途中、電車にはねられた男性の遺族に、「介護責任を怠った」として重い賠償が課せられた事件がありました。こんなニュースを聞くと、認知症への理解が、まだ世間に充分に浸透していないのではないかと感じます。
認知症は、誰もが発症する可能性があります。にもかかわらず、認知症になるとどうなるか、何が起きるのか、よく知られていない気がします。いままさに認知症の人を介護している家族ですら、「頭がおかしくなったのだから、もう何をしてもムダ」「やることなすこと理解できないことばかり。もう疲れた」と諦めているのではないでしょうか。
でも、認知症は、理解できるものです。そして、理解することで、介護がいままでとは比べものにならないほどラクになります。「ああ、そうだったのか」「その行動にはそんなワケがあったんだ」とわかることで、心につかえていた重石がとれ、目の前が少しだけ開けたような気持ちになります。
「幽霊の 正体見たり 枯れ尾花」ということわざがあります。幽霊だ、幽霊だと思っていたものが、わかってみたら、何のことはない、枯れてしおれたススキの穂だった。実態を知ってみれば、案外たいしたことはなかったという譬えです。人間、わからないこと、知らないものには、過剰なほどの恐れを抱くものだということが、このことわざからも理解できます。
認知症のトラブルにも、似たようなところがあるのではないでしょうか。認知症によくある「もの盗られ妄想」では、「あんたが私の財布を盗んだんでしょ!」と、身近にいる家族が認知症の本人から泥棒扱いされます。しかし、認知症の人の「頭の中」を知ることで、もの盗られ妄想はトラブルではなくなります。そして、うとましかった認知症の人が、ちょっとだけ愛すべき“人間”に見えてくるのです。
この本では、認知症の人を理解するための基礎知識を紹介するとともに、認知症にまつわるトラブルをどう回避するか、もしそんなトラブルに遭ったらどうすればよいかをまとめています。
いま、多くの人が、認知症の家族を介護しています。家族が認知症であることを打ち明けられず、苦しんでいる人もいるでしょう。度重なる徘徊や妄想に悩まされ、もうどうしたらいいのかと、行き詰まっている人もいると思います。でも、同じ認知症の家族を介護してきた人間として、こう言いたいと思います。
大丈夫です。いま感じている多くの行き詰まりは、認知症を理解することで、その多くが解消されます。そして、家族に認知症の人がいても、心安らかに、自分の人生を大切にしながら生きることはできますよ、と。
介護で苦しんでいる人、悩んでいる人、そして、これから介護が必要になるであろう人たちに、この本を通じて、少しでも安心を感じていただくことができたらと思っています。

【PART1】認知症を知りましょう ~トラブルを予防するために~
・認知症、もう他人事ではありません
・あなたはどこまで理解していますか?
・その行動には、意味があります
・認知症がわかる「九つの法則」と「一つの原則」
・認知症の種類と特徴
・診察を受ける大切さ
◆COLUMN 認知症は、遺伝するの?
・こんな治療がなされます
・トラブルでないことを「トラブル」にしないために
◆COLUMN 中核症状と周辺症状

【PART2】トラブルケース 事件・事故
〈CASE1〉コンロをつけっぱなしにしたせいで、火事になりかけた。
〈CASE2〉タバコを吸っていて、ぼやを出した。
〈CASE3〉仏壇のろうそくや線香に火をつけようとして、畳を燃やした。
〈CASE4〉父が知らない間に家を出て行方不明に。どうしたら……。
〈CASE5〉徘徊しているときに踏切に立ち入り、電車を止めてしまった。
◆COLUMN 家族のせい? 認知症男性のJR列車事故について
〈CASE6〉車を運転しているとき、信号無視をした。
〈CASE7〉車は普通に運転できるけど、壁にこすったり、脱輪させたりといったことが増えた。

【PART3】トラブルケース 健康
〈CASE1〉冷蔵庫の中にある腐ったものを食べて、お腹を壊してしまった。
〈CASE2〉糖尿病で食事制限されているのに、どんどん食べる。
〈CASE3〉食事や水分をとる量が減って衰弱している。このままどうにかなってしまうのでは……。
〈CASE4〉食事をのどに詰まらせるようになり、肺炎を起こした。
〈CASE5〉薬を包装シートごと飲んで、病院に運ばれた。
〈CASE6〉薬の量を間違えて飲んでしまった。命に別条はなかったが……。
〈CASE7〉本人の暴力で、家族がケガをした。
〈CASE8〉父の介護をしている母が体調を崩し、倒れた。このままでは母がどうにかなり、夫婦共倒れになってしまう。

【PART4】トラブルケース お金
〈CASE1〉認知症の本人が、訪問販売で高額な買い物をした。とても返済できない。
〈CASE2〉土地や建物のことで、本人が親戚とトラブルを起こした。
〈CASE3〉買い物をしてお金を払わなかったため、お店の人に泥棒扱いされた。
〈CASE4〉本人の貯金や年金を引き出して介護費にあてたいのに、それができない。
〈CASE5〉介護をしてくれている人が、本人のお金を使い込んでいる。

【PART5】トラブルケース 病院・施設
〈CASE1〉医師が「食べられなくなってきたので、そろそろ胃ろうにしましょう」と勧めてくる。でもそれはイヤだ。
〈CASE2〉介護老人保健施設に入所させようとしたところ、高価な薬は出せないと言われた。
〈CASE3〉デイサービスで他の利用者に手を出すので、「もう来ないでください」と言われた。
〈CASE4〉施設での介護やケアに不信感を抱いている。

【PART6】トラブルケース 近隣との関係
〈CASE1〉本人が大きな声で叫ぶため、近所から「うるさい」とクレームがきた。
〈CASE2〉「お宅のおばあちゃんがうちのものを盗った」と、ご近所さんが怒鳴り込んできた。「私のものをお隣さんが盗んだ」と、本人がご近所に怒鳴り込んだ。
〈CASE3〉離れて暮らしている父が、自宅をゴミ屋敷にし、近所で問題になっている。

【PART7】トラブルケース トラブルとまでは言えないけれど……
〈CASE1〉ものを盗られたと騒がれ、介護をしている嫁が精神的にまいっている。
〈CASE2〉施設に入れる、入れないで家族の意見が割れ、もめている。
〈CASE3〉本人があまりにも理不尽なことを言うので、つい手を上げてしまった。
◆COLUMN 仲間をつくろう
〈CASE4〉嫁である私に性的な言葉をかけてきたり、布団に入ってこられる。どうしたら……。
〈CASE5〉同居の父がトイレの場所を間違えて、洗面所、お風呂、時には押し入れや部屋の隅で排尿してしまう。
〈CASE6〉失禁するようになってきた義母が、汚れた下着をベッドの下やタンスの中に隠してしまう。

【付録】困ったときの相談窓口