人名事典

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野口 旭

(のぐち・あさひ)
 一九五八年北海道生まれ。東京大学経済学部卒業後、同大学院経済学研究科博士課程修了。専修大学助教授を経て、教授。

 自然科学のとんでもない説を展開する「トンデモ本」と同様、経済学にも「トンデモ本」があると論じて、国際経済の「正しい入門と認識」を説く。九八年の『経済対立は誰が起こすのか』(ちくま新書)が多くの読者を獲得。内容は実に正統な国際経済学だが、アメリカの経済学者の裏話を巧みに織り交ぜて執筆、面白く読める経済学として若い読者層に支持された。

 同書は、国際収支の見方、貿易の「比較優位」説、アメリカの「戦略的貿易論」の帰趨、日本における「貯蓄・投資バランス」論争などについて論じているが、読んでいるうちに国際経済学の一応の基礎が身に付くように書かれてある。

 着目すべきは、議論において歯に衣を着せぬ批判を展開することで、今後の論壇での活躍が期待される。フットワークの実によい国際経済学者のホープだ。

 著作に『経済学における正統と異端』(昭和堂 共著)、『国際経済学 理論と実践』(ナカニシヤ出版 共著)などがある。

(データ作成:1997年)