人名事典

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榮久庵憲司

(えくあん・けんじ)
 一九二九年東京都生れ。東京芸術大学美術学部図案科卒。五七年、GKインダストリアルデザイン研究所設立。

 広島の原爆は、父親が住職を務める戒善寺の五百メートル先に落ちた。壮絶な廃墟に立ち尽しながら、壊れてなお存在を主張するモノたちがあわれに思えた。「モノにも命があり、心がある」。十七歳で住職を継ぎながらもデザインの世界に進んだのは、「秩序のある、美しいモノの世界」を築かんとしたため。いま、モノは豊かになったが、人々はモノを慈しむ心を失った。自動車供養をはじめ「道具供養」を提唱するゆえんだ。「物教徒」にして「歳時記の心」を知る日本人に、「物心一如」の可能性をかける。

 著書に『モノと日本人』(東京書籍、94年)ほか。

(データ作成:1997年)