人名事典

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つかこうへい

 本名・金原峰雄。一九四六年福岡県生れ。慶應義塾大学文学部中退。現在作家、演出家。

 戯曲、小説のなかで日本人の陥りやすい自虐趣味や感傷癖を見事に表現。七○年代の演劇をリードしたが、九○年代にも、かつての作品を改訂上演するなど、その活躍は目立つ。殺人、革命、学生運動、姦通などといった深刻で陰鬱な事件を題材にし、激しい情感とマゾヒスティックな悔悟が交錯する作品が多い。劇団「暫」において「初級革命講座飛龍伝」(73年)、劇団「つかこうへい事務所」設立後に「蒲田行進曲」(80年)を発表。最近は「熱海殺人事件」(90年)の改訂公演を行い、また「飛龍伝九○」は読売文学戯曲賞を受賞した。在日韓国人としてのアイデンティティを吐露した『娘に語る祖国』(光文社、90年)は、つか氏を理解するうえで欠かせない。

 著書『戦争で死ねなかったお父さんのために』(新潮文庫、79年)ほか。

(データ作成:1998年)