人名事典

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井尻千男

(いじり・かずお)
 一九三八年山梨県生れ。立教大学文学部日本文学科卒。

 『日本経済新聞』読書面のコラム「とじ糸」(70~89年)で名コラムニストとして名を馳せる一方、早くから評論活動でも活躍。『消費文化の幻想』(PHP研究所、84年)は、国民がバブル経済に浮かれるなか、「個性化」などの美辞麗句で徒らに消費行動を煽る風潮に疑義を呈して話題を呼んだ。「消費者本位主義は共産主義運動の相似形である」という主張は、現在『発言者』誌上で展開している規制緩和論批判にも貫かれている。「消費者のために」という美名のもとに断行される「規制原則ゼロ論=革命」は結局のところ、地球規模で貧富の格差を「天文学的に拡大する」と警鐘を鳴らす。守備範囲の広い保守の論客。

  著書に『読書の醍醐味』(PHP研究所、96年)、『劇的なる精神 福田恆存』(日本教文社、94年)。

(データ作成:1997年)