人名事典

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伊藤昌哉

(いとう・まさや)
 一九一七年中国満州生れ。東京帝国大学法学部卒。西日本新聞社に入社し、政治記者として活躍。五五年、池田勇人首相の秘書官となり、池田の死後は宏池会の事務局長を務め大平正芳内閣を支える。現在、評論家。

 日本政治の裏表に精通し、ことに自民党中枢のドロドロとした駆け引きを自らの体験に基づいて論じた『自民党戦国史』(朝日ソノラマ、82年)は、圧倒的な迫力をもつ。かりそめにも近代的な装いをもつ日本政治の中枢において、激しい情念と非合理的な判断が鎮座していることを氏は描いた。『Voice』(95年11月号)「無党派層が国を滅ぼす」では、自民党が自らの権力欲を捨て、国家の立ち行きをひたすら追求せよ、と保守本流である自民党にエールを送る。乱戦模様の政治状況下、氏の考察は重みを増す。

 著書に『池田勇人とその時代』(朝日文庫、85年)がある。

(データ作成:1997年)