人名事典

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佐藤 光

(さとう・ひかる)
 一九四九年北海道生まれ。東京大学経済学部卒業。大阪市立大学助教授を経て教授。専攻は社会経済学および宗教経済学。

 氏は、近代社会を、一方で市場経済が覆い尽くすそうとする近代化と、他方で人間の生命力が拘束を超えて進もうとする躍動との「二重運動」として捉えようとする。九四年に書かれた『ポラニーとベルグソン』(ミネルヴァ書房)は、異質に見える二人の思想家を、この近代の「二重運動」との関わりのなかで読み直す試みだった。

 最近は、アカデミックな研究だけでなく論壇での発言も多く、「自己責任」や「規制緩和」などのスローガンで進められる「空想小説」的な改革に対し、「共同体原理や社会原理をも考慮にいれながら、有効な改革」をめざす保守的改革こそが必要だと論じる(『諸君!』九八年一月号)。

 柳田国男にも造詣が深く、経済問題を単なる技術や制度と見るだけでなく、歴史のなかで積み重ねられてきた習慣や価値観に遡って考えようとする視点がユニークである。

 著作に『入門 日本の経済改革』(PHP新書)がある。

(データ作成:1997年)