人名事典

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吉冨 勝

(よしとみ・まさる)
 一九三二年長崎県生れ。東京大学教養学部卒。同大学院社会科学科理論経済学博士課程修了。経済企画庁に入り、経済協力開発機構(OECD)事務局一般経済問題担当局長、経済企画庁経済研究所長、調整局長を歴任。

 官庁エコノミストを代表する論客で、統計に基づく緻密な論理を展開する。在任中、「世界経済モデル」を完成させ、国際的に高い評価を得た。平成不況の最中には、「大不況などありえない。日本経済に大きな需給ギャップはない。省力化投資が有益だ」と、景気循環論にとらわれすぎた政策判断の誤りを指摘する学者に反論し、「実需刺激策と金融対策の二本柱の政府の総合経済対策は有効で、タイミングも遅くない。ストック調整に景気後退は不可避で、それをなくそうとするとインフレになって国を滅ぼす」という論陣を張った。欧米の経済学者を英語で論破する数少ない日本人。

 著書に『現代日本経済論』(東洋経済新報社、77年)などがある。

(データ作成:1997年)