人名事典

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吉川弘之

(よしかわ・ひろゆき)
 一九三三年東京都生れ。東京大学工学部卒。三菱造船などを経て、東大教授、同大学長特別補佐などを歴任。九三年に第二十五代東大総長に選出。

 専門はロボット工学だが、教育者としての発言も耳目を引く。「一般設計学」の生みの親。クーラーがうちわの増幅装置であるように、工業製品機能を「人の作業の代替物」という視点から考察。こうした自動化技術発展が専門熟練者喪失と技術継承費用増大を招いていると指摘。行き過ぎの技術による自然の安定性の攪乱、それを補うための新技術開発という循環が地球の劣化をもたらすともいう。その克服には、製造業の基礎的技術の研究開発を国際的な人類共有財産とする「テクノグローバリズム」、いわゆるIMS(インテリジェント・マニュファクチャリング・システム)を提唱する。「日本製品は『無言の製品』」といい、伝統の発信を訴える。

 著書に『テクノグローブ』(工業調査会、93年)など。

(データ作成:1997年)