人名事典

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小宮隆太郎

(こみや・りゅうたろう)
 一九二八年京都府生れ。東京大学経済学部卒業。ハーバード大学経済研究所、スタンフォード大学客員教授、東京大学経済学部教授を歴任。現在、通産省通商産業研究所長、青山学院大学教授を勤める。

 日本の経常黒字は、市場開放が遅れているためだとする論に対し、非経済学的妄説と退け、黒字は貯蓄が投資を上回っているためだと論戦を挑んでいる。米国の赤字は、その逆であり、貯蓄率の向上政策を採らないかぎり、不均衡を是正するための管理貿易的手法は意味がないと主張する。対外黒字の是正を公約した八六年の「前川リポート」がそもそも間違いだったと論断し、日本の黒字は世界経済に必要な資金を提供している、という意味で有用であるという「黒字有用論」を展開している。霞が関に信奉者が多い。

 著書に『現代日本経済研究』(東大出版会、88年)、『貿易黒字・赤字の経済学』(東洋経済新報社、94年)などがある。

(データ作成:1997年)