人名事典

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山中 カン

(やまなか・かん)
 一九二二年山口県生れ。慶應義塾大学法学部卒。大成建設に入り、その後、伊勢丹専務、松屋社長、会長を務め東武百貨店社長。

 松屋の再建を果し「百貨店業界の仕事師」の異名をとる辣腕経営者である。九○年に東武百貨店に迎えられ、池袋店の増床や委託販売・賃金体系の見直しに手をつけている。「日本の賃金体系は年功序列で、業績給というインセンティブが全然ない。年をとると売り場へ行かずお茶ばかり飲んでふんぞりかえっているから生産性はゼロ」と働かない中高年に業を煮やす。ディスカウンターの登場や価格破壊、さらに内外の通信販売の攻勢で、百貨店の存在が脅やかされているが、「下のほうの価格帯はディスカウンターに譲っていくが、価格が真ん中のボリュームゾーンとプレステージゾーンは百貨店だ。都市化が進むと消費文化のセンターとしての宿命もある」と気を引き締めている。激しい生存競争のなかで再び「仕事師」の真価が問われる。

(データ作成:1997年)