人名事典

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市岡揚一郎

(いちおか・よういちろう)
 一九三七年中国上海生れ。自由学園卒。日本経済新聞社ワシントン支局長、外報部長、編集局次長などを経て日本経済新聞社取締役論説主幹。

 日米経済関係の展開を冷静にウオッチしつつ、近未来小説作家として日本外交の時事問題に対して大胆な警鐘を鳴らす。『諸君!』(96年1月号)に発表した「日米安保はなぜ死んだか」では、中台紛争が勃発した際、沖縄の基地を使わせず、米軍基地のアジア分散を求める日本の対応に業をにやした米国が日米安保条約を破棄するストーリーをリアルに描いた。これをホラー小説と読むか、荒唐無稽な空想話と読むか。ちなみに物語は、米側に突き放された日本が結局、双務的性格の新安保を提案するという楽観的な(?)結末を迎えるのだが。

 著書『動乱は我が掌中にあり』(新潮社、91年)、『一九九九年日本再占領』(新潮社、88年)。

(データ作成:1997年)