人名事典

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本川達雄

(もとかわ・たつお)
 一九四八年宮城県生れ。東京大学理学部卒。琉球大助教授を経て、東京工業大学教授。

 率直な驚きをもとに科学的事実と推論を書き分ける筆力、ユーモラスな語り口には大いに理解を助けられる。研究対象もナマコやヒトデといった棘皮動物だからユニーク。ベストセラー『ゾウの時間 ネズミの時間』(中公新書、92年)では、動物と時間の相関関係に着目。寿命が動物のいずれも体重の四分の一、体長の四分の三に比例するという「サイズ動物論」を検証。数年しか生きないネズミも百年生きるゾウも一生を終える感覚は同じ、との仮説をたてて世の中を驚かせた。こんな独特の発想が生れる一つの源泉が「ホラ吹き」の奨励。西欧科学の仮説中心主義を盲信することなく受容し、ダイナミックで柔軟な自然科学の新風を巻き起そうとしている。

 著書に『サンゴ礁の生物たち』(中公新書、85年)など。

(データ作成:1997年)