人名事典

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松原隆一郎

(まつばら・りゅういちろう)
 一九五六年兵庫県生まれ。東京大学工学部都市工業科卒業。同大学大学院経済学研究科博士課程修了後、現職。専攻は社会経済学・相関社会学。

 実に広い守備範囲をもつ若手論壇人。論壇での活動を「格闘技」として位置づけ、「スポーツはルールの中で強くなることを目標としているが、格闘技の場合は強さをしめすルールが明示されない」と、現在の混戦模様の言論状況を指摘する(『格闘技としての同時代論争』勁草書房 九四年)。

 九六年の『さまよえる理想主義』(四谷ラウンド)では、「左翼的理想主義の退潮の後、別種の理想主義が、批判的な検討にさらされることなく跋扈している」として、従来の枠組みでは論じきれない状況をさらに深く分析、自在にスタンスを変えながら問題の本質を抉る方法を模索している。

 現在、朝日新聞の「論壇時評」や『正論』で定期的に論壇を批評・批判するとともに、多くの雑誌で思想・経済・文化・社会問題について論じる。そのディテールに妙味のある冷静な闘いぶりは「カール・ゴッチ的」と評する人もいる。空手道大道塾二段でもある。

 著作に『豊かさの文化経済学』(丸善)などがある。

(データ作成:1997年)