人名事典

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正村公宏

(まさむら・きみひろ)
 一九三一年東京都生れ。東京大学経済学部卒。専修大学講師、助教授を経て教授。

 マルクス経済学からスタートし、構造改革理論の研究者の一人であった。ソ連の消滅に際し、「社会主義とは、現存体制の根底的批判と系統的改革を提起する主体的勢力の存在意義を持っていた」(『週刊東洋経済』91年10月19日号)と総括し、いまも「場当たり的減税や赤字国債頼みは無責任で、長期展望に立った財政と税制の根本検討が必要であり、現状では、消費税率の引き上げ、所得税の不公平是正が急務」(『THISIS読売』92年12月号)と日本の経済社会の問題点を指摘する。近代経済学がややもすると見失う体制論を踏まえた批判を期待できる数少ない論者。

 著書に『成熟社会への選択』(日本放送出版協会、94年)、『現代史』(筑摩書房、95年)などがある。

(データ作成:1997年)