人名事典

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浅井基文

(あさい・もとふみ)
 一九四一年愛知県生れ。東京大学法学部中退。外務省入省、中国課長、駐英公使を歴任したのち退官。東京大学教授を経て現職。

 元エリート外交官が「日米安保無用論」を言挙げしたことで話題となった。『世界』(93年6月号)の論文「いまこそ憲法に戻らざるを得ない」では、「『国際社会』は、実は『米国』と同義。国際貢献の中身は、新しい日本の役割を、という声とは裏腹に、従来の対米追随と本質的に変わりない」とし、国連安保理常任理事国入りは「違憲の海外派兵をカモフラージュするための隠れ蓑」だとして反対した。「平和主義」と「反米」の組み合せには懐かしい響きがある。とにもかくにも外務省は人材面での懐の深さを証明したといえよう。

 著書『外交官』(講談社、91年)、『アメリカが日本を叩く本当の理由』(ごま書房、90年)、『日本外交・反省と転換』(岩波書店、89年)。

(データ作成:1997年)