人名事典

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猪瀬 博

(いのせ・ひろし)
 一九二七年東京都生れ。東京大学工学部卒、同大大学院修了。東芝勤務、東大助教授、同教授を経て、文部省学術情報センター所。

 デジタル通信の応用、道路交通管制の基礎技術、大学間コンピュータ・ネットワークの構築など幅広い分野で業績をあげる。九一年には情報通信界の第一人者として文化勲章を受章。氏は高度情報化社会の到来を早い段階から唱え、国境なき科学実現のため基礎研究の重視を主張してきた。研究者としての立場から、猪瀬氏は「進化は偶然のいたずらだ」(『中央公論』90年2月号)と発言している。「進化は独創性、無作為性、気紛れ、いい加減さから生まれ……子供のように制約を受けない環境に自分自身を置くこと」と説く。たしかに「進化は必然である」という教科書的進化論より楽しい。

 著書に『文化としての科学技術を考える』(三田出版会、90年)などがある。

(データ作成:1997年)