人名事典

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薬師寺泰蔵

(やくしじ・たいぞう)
 一九四四年奈良県生れ。慶應義塾大学工学部卒。東京大学教養学部卒。マサチューセッツ工科大学政治学大学院博士課程修了。埼玉大学教授を経て、慶應義塾大学教授(法学部教授)。

 技術と国家の安全保障の関係を覇権移動史のなかでまとめたのが『テクノヘゲモニー』(89年)だった。「技術は武力や経済の次元と相関する部分もあるが、まったく独立した慣性と運動原理をもって国際政治に関与してくる」として、技術の視点を踏まえないと国際政治の全貌はわからないと論じる。日米関係についても「双子の性格が強く、近親憎悪的な危険をはらむ」と指摘、「最も危険なのは日本のへりくだり。現実的な処方箋は日本が普通の国家に努力する」ことと明快だ。

 著書『「無意識の意思」の国アメリカ』(NHK出版、96年)、『テクノデタント』(PHP研究所、91年)、『テクノヘゲモニー』(中央公論社、89年)。

(データ作成:1997年)