人名事典

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藤森照信

(ふじもり・てるのぶ)
 一九四六年長野県生れ。東北大学工学部卒。東大生産技術研究所助教授を経て、同国際・産学共同センター教授。

 巧みな建築進化論、建物から人と時代の思想を引き出す硬派。「建築探偵」「路上観察学」で知られる軟派。この両面をもつユニークな建築史家。日本における西洋建築伝播という文明史を体系的にとらえ、思想史にまでむすびつけることに独特の視点をもつ。近年では東京の抽象的な巨大オフィスビル群に「都市が見えなくなる」と警告も発する。

 こうした重厚さとともに、作家の赤瀬川原平氏らと設立した「路上観察学会」リーダーとしても有名。関東大震災後の商店建築を紹介した『看板建築』(三省堂、94年)では「古い記憶の波と新しい動きの波が、街の中心からちょっとズレたところでぶつかり合ったときの、しぶきのようなもの」といい、路上観察の楽しみを教えてくれる。

(データ作成:1997年)