人名事典

>> 検索トップへ

辺見 庸

(へんみ・よう)
 一九四四年宮城県生れ。早稲田大学文学部卒。

 七七年に北京特派員となって以来、十数年間にわたり外信部記者を務める。近代化を推進する中国の模様を描いて、七八年日本新聞協会賞を受賞。北朝鮮やインドシナ半島にも入り込んで数々のスクープをものにしてきた。創作にも才能を発揮し、九一年には『自動起床装置』(文藝春秋)で芥川賞を受賞。

 だが、その名を世に知らしめたのはルポルタージュ『もの食う人びと』(共同通信社、94年)だった。世界の紛争・被災地域を訪ね、ひたすら現地住民と食をともにした異色のルポは、「弱々しいヒューマニズム」「浪花節」「タブーに平気で触れるような野次馬的好奇心」といった自身の抱える限界を逃げずに真っ直ぐ見つめる自省の記録でもあった。〈私たちは辺見庸のように志を失わぬ、明度の高い、大人のやさしさを持続できるだろうか〉(宮内勝典)など絶賛を浴びた。

 著書に『反逆する風景』(講談社、95年)など。

(データ作成:1997年)