人名事典

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野田正彰

(のだ・まさあき)
 一九四四年高知県生れ。北海道大学医学部卒。神戸市外国語大学教授を経て京都造形芸術大学教授。

 精神医学、文化人類学、ノンフィクションとなんでもこなす。精神病医療に疑問をもち改革運動に参加、パプアニューギニアで百人の精神病患者を観察したこともあった。登校拒否、いじめ、家庭内暴力……現代社会の抱えるひずみを精神科医の目からリポート、告発してきた。そんな野田氏の目には阪神大震災がもたらした被災者の心の傷跡も重要なテーマ。『潮』(96年3月号)「阪神大震災から一年、心の傷は重い」で震災一年後の二つの深刻な問題について言及。遺族の心の傷と外傷性ストレスの問題。この二つの心の後遺症に対するケアが不十分だというのだ。つねに時代状況を、精神面から深く分析する力量は並外れている。

 著書は『漂白されるこども達』(情報センター出版局、88年)、『喪の途上にて』(岩波書店、92年)。

(データ作成:1999年)