人名事典

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陣内秀信

(じんない・ひでのぶ)
 一九四七年福岡県生れ。東京大学工学部卒。ベネチア建築大、ユネスコのローマセンターを経て、法政大学教授。

 八五年に『東京の空間人類学』(筑摩書房、85年)でサントリー学芸賞を受賞。同時代の藤森照信ら「路上観察派」が都市の表層を楽しむのに対し、都市の文脈に目を向けることを訴えた。人間の心を忘れた都市空間を鋭く批判、経済優先の改造論議に対してノーを唱える。氏の頭のなかは江戸・東京という時間軸、東京・ベネチアという空間軸が交差、東京を論じるときにも、遊び文化を生んだ江戸、水の都ベネチアの風景が明滅する。『文藝春秋』(増刊90年2月号)では「異文化理解の必要性」を説いた。経済大国になった日本には驕りが目に付く。異文化を新鮮な感受性で理解しないと日本は孤立する、と危惧を隠さない。

 著書に『ヴェネツィア』(鹿島出版会、86年)など。

(データ作成:1997年)