人名事典

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青木 保

(あおき・たもつ)
1938年東京都生れ。上智大学文学部卒。東京大学大学院を経て、大阪大学助教授、同大教授、ハーバード大学客員教授を歴任。九六年より現職(先端科学技術研究センター教授)。

 学園紛争で揺れた70年代初頭、タイの仏教寺院で托鉢してまとめた「タイの僧院にて」が学会で高い評価を受ける。以来アジアの政治と文化の関わりについて考察を重ね、文化人類学的な関心は比較文化、文明論、国際関係論などの分野にも及ぶ。最近は、話題を集めたハンチントン教授の「文明の衝突」に内包されているアジア異質論の政治的な危険性に警鐘を鳴らす。アジアは欧米の人権、民主化の押しつけにただ反発するだけでなく、アジア的価値をもって応えるべきだと主張(『THISIS読売』95年4月号)。異文化に自ら飛び込み、体験する学者としての存在感は大きい。

 著書に『「日本文化論」の変容』(中央公論社、90年)などがある。

(データ作成:1997年)