人名事典

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青木雄二

(あおき・ゆうじ)
 一九四五年京都府生れ。岡山県立津山工業高校卒。

 私鉄土木部を振り出しに、キャバレー勤めなど三十あまりの職を転々としたあと、写植版下関連の会社を設立するが倒産。暇にまかせて『資本論』『罪と罰』を耽読したあと、投稿した漫画『50億円の約束手形』がアフタヌーン四季賞の佳作に入選。これを機会に九○年、消費者金融に関わるウラガネの世界、人物像をリアルに描いた『ナニワ金融道』を『週刊モーニング』(講談社)に連載開始する。これが三十代読者から圧倒的な支持を受け、一挙に人気漫画家の地位を掴んだ。

 『ナニワ金融道』は「資本主義の必然、掟」をひたすら開示した教養小説、悪漢小説の一種だが、エッセイでは、「資本主義への抵抗」として自己破産を捉えるなど、「矛盾だらけの資本主義社会」を徹底攻撃する。遅れてきた古典的プロレタリア文学者。

 著書に『ゼニの人間学』(ロングセラーズ、95年)など。

(データ作成:1997年)