人名事典

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黒川紀章

(くろかわ・きしょう)
 一九三四年愛知県生れ。京都大学工学部卒。東京大学大学院、丹下健三研究室を経て、建築家。

 都市における共生と防災対策が氏の一貫したテーマ。コメ問題、阪神大震災、マルチメディアと歯に衣着せぬ批判の矛先は鋭くかつ幅広い。なかでも『現代』(91年6月号)での栗本慎一郎氏との対談「東京はこれでいいのか。鈴木都政の仮面をはぐ」では、東京という都市は国家を超えた大きな存在、抱える問題は深刻であり、東京への一極集中、住宅無策、臨海副都心のオフィスビルではなく、住宅を建設して職住接近を図るべきだと主張。かつての師匠・丹下健三氏を「鈴木知事、それを支える丹下さんの不勉強が招いた悲劇」と手厳しい。二十四時間空港、ゴミ問題、防災都市づくり……氏の提起した問題はいまでも十分有効だ。

 著書に『ノマドの時代』(徳間書店、89年)など。

(データ作成:1997年)