おすすめの本 [PHPくらしラク~る 2014年4月号]

『中村勘三郎最期の131日』
波野好江
集英社
定価 本体1,400円(税別)
◆愛にあふれた生活を回想

七代目中村芝翫の娘として生まれた著者は、同じ歌舞伎の世界に育ち、子どもの頃から親しんでいた中村勘三郎さんと二十一歳で結婚。以来、公私にわたって勘三郎さんを支え続けます。本書は勘三郎さんの闘病を中心に、夫婦の生活について書かれた手記です。

歌舞伎役者として早くから脚光を浴びていた勘三郎さんは、私生活では妻がそばにいないと寂しくて仕方がない性格。女性との華やかな噂が芸能ニュースに登場することもありましたが、実際は周囲に“好江病”とあきれられるほどの愛妻家だったといいます。妻に褒められたい一心でホームパーティーの洗い物をする勘三郎さんなど、夫妻のほほえましい日常の風景が綴られます。
2012年7月、食道がんの手術から始まった勘三郎さんの闘病生活は、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)の発症によってわずか4ヵ月で終わりを告げます。亡くなった勘三郎さんに添い寝をする著者の、夫をいつまでも深く愛し続ける様子に、涙が止まりません。

後半には夫妻の友人である大竹しのぶさんの手記と、同じ病気で悩む人たちの参考にと主治医のインタビューが収録されており、こちらも読みごたえがあります。

家族がそばにいて、会話が交わせる幸せ――。そのかけがえのなさに、改めて気づかされます。

『嫁姑が幸せになれる100の知恵』
大原敬子
PHP研究所
定価 本体1,200円(税別)
◆苦手意識が消えていく

著者はラジオ人生相談のアドバイザー。人間関係を円滑にするコツを伝授します。「上手くいかないのが当たり前」「相手(姑)が自分のことを好きだと思いこむ」など、気持ちがラクになるヒントが見つかります。

『片づけの解剖図鑑』
鈴木信弘
エクスナレッジ
定価 本体1,400円(税別)
◆暮らしやすい家づくりのコツ

人の動きと収納を、建築家の視点から解説します。たとえば押し入れについては「懐が深くていいのは、力士だけ」など、ユニークな文章とイラストでレクチャー。楽しく読むうちに、片づけの知識が身についてくる本です。

『ひよこ食堂のホクホクうちごはん』
ひよこ食堂
ワニブックス
定価 本体1,000円(税別)
◆忙しいときのお助け献立集

“家族がほっとする”をテーマに人気ブロガーがまとめたレシピ集。「手羽先のはちみつ煮」「大豆のポテトサラダ」など、盛り沢山の内容です。ありもので作れる多彩なメニューの提案がうれしい一冊です。

『虹の岬の喫茶店』
森沢明夫
幻冬舎文庫
定価 本体648円(税別)
◆やさしい気持ちになれる

岬にある小さな喫茶店の女店主・悦子さんは、訪れた人をおいしいコーヒーとその人にふさわしい音楽でもてなします。悦子さんと出会うことで新たな人生を歩み出す人たちの姿に、心が温かいもので満ちてきます。