雑誌
巻頭の言葉
消費を拡大させる税制
(いとうもとしげ/NIRA理事長、東京大学教授)
伊藤元重
還付付き消費税という考え方を知っているだろうか。消費税を多く取っておき、その一部を還付金として国民に戻す制度だそうだ。先日も、首相官邸での経済政策に関する意見交換会で、還付付き消費税の導入を中谷巌氏が提案していた。
たとえば、消費税を北欧並みの25%にしたとしてみよう。ただ、このうちの5%分、つまり現行の税率分は政府の財政支出の財源に回すとする。そして、残りの20%分の税収は全部還付金として国民に戻すことにする。現在の経済規模だと、消費税1%でおおよそ2.5兆円の税収が入るので、20%分で50兆円の税収が入り、これが全部国民に還付されることになる。50兆円を日本の人口で割ると、1人当たりおよそ40万円という計算になる。4人家族であれば160万円、毎年もらえることになる。
消費税は25%であっても、4人家族で160万円還付されるとすれば、重税感をあまり感じないのではないだろうか。とくに所得の少ない層にとっては、消費額が少ないので、もともと消費税の負担はそれほど大きいわけではない。それだけ、1人当たり40万円もらえることのメリットは大きくなる。
なにも、一度消費税で徴収して、それを還付金で戻すような制度にしなくてもよいのではないか、と考える読者もいるだろう。たしかに、ただ税金を徴収して、その多くを還付金で戻すというのは、いかにも二度手間のようにも見える。しかし、還付金の代わりに年金・医療・介護・教育・保育などのかたちで支給したらどうだろうか。
消費税率は高くするが、その代わり、年金・医療・介護・教育・保育などの分野でのサービスは国民全体に手厚く支給するという制度だ。北欧の制度はこれに近いものだ。この制度には2つの重要なポイントがある。所得の再分配を金銭ではなく社会保障などのかたちで行なっている点、そして税負担を所得税ではなく消費税で行なっている点だ。
まず所得再分配から見てみよう。これまでの日本は所得税などの累進体系で所得格差を是正しようとしてきた。しかし、累進税体系によって所得の再分配を行なうことにはいろいろな問題があることが指摘されている。
国から所得の再分配を受ける立場にある人にとっても、金銭で支援を受けるよりも、国民生活のベーシックなサービスで支援を受けたほうがよいという面がある。金持ちであろうと貧しかろうと一定の年金や介護が保障されており、教育や保育などのサービスも無料に近い低料金で享受できるのだ。教育や医療などの生活の基本が低料金で享受できることは、社会の安定のうえでも重要な意味をもつはずだ。国民が過度の不安感をもつこともないだろう。「国民全員がある一定の必要なサービスを受けられる」ということが、社会にとっては重要な公共財となるのだ。
たとえば、消費税を北欧並みの25%にしたとしてみよう。ただ、このうちの5%分、つまり現行の税率分は政府の財政支出の財源に回すとする。そして、残りの20%分の税収は全部還付金として国民に戻すことにする。現在の経済規模だと、消費税1%でおおよそ2.5兆円の税収が入るので、20%分で50兆円の税収が入り、これが全部国民に還付されることになる。50兆円を日本の人口で割ると、1人当たりおよそ40万円という計算になる。4人家族であれば160万円、毎年もらえることになる。
消費税は25%であっても、4人家族で160万円還付されるとすれば、重税感をあまり感じないのではないだろうか。とくに所得の少ない層にとっては、消費額が少ないので、もともと消費税の負担はそれほど大きいわけではない。それだけ、1人当たり40万円もらえることのメリットは大きくなる。
なにも、一度消費税で徴収して、それを還付金で戻すような制度にしなくてもよいのではないか、と考える読者もいるだろう。たしかに、ただ税金を徴収して、その多くを還付金で戻すというのは、いかにも二度手間のようにも見える。しかし、還付金の代わりに年金・医療・介護・教育・保育などのかたちで支給したらどうだろうか。
消費税率は高くするが、その代わり、年金・医療・介護・教育・保育などの分野でのサービスは国民全体に手厚く支給するという制度だ。北欧の制度はこれに近いものだ。この制度には2つの重要なポイントがある。所得の再分配を金銭ではなく社会保障などのかたちで行なっている点、そして税負担を所得税ではなく消費税で行なっている点だ。
まず所得再分配から見てみよう。これまでの日本は所得税などの累進体系で所得格差を是正しようとしてきた。しかし、累進税体系によって所得の再分配を行なうことにはいろいろな問題があることが指摘されている。
国から所得の再分配を受ける立場にある人にとっても、金銭で支援を受けるよりも、国民生活のベーシックなサービスで支援を受けたほうがよいという面がある。金持ちであろうと貧しかろうと一定の年金や介護が保障されており、教育や保育などのサービスも無料に近い低料金で享受できるのだ。教育や医療などの生活の基本が低料金で享受できることは、社会の安定のうえでも重要な意味をもつはずだ。国民が過度の不安感をもつこともないだろう。「国民全員がある一定の必要なサービスを受けられる」ということが、社会にとっては重要な公共財となるのだ。







