冨山和彦『30代が覇権を握る!日本経済』
内容紹介
冨山和彦『30代が覇権を握る!日本経済』

下山するなら自力で下りろ!
若い世代に負担を掛けるな――


「団塊世代」など、おカネに余裕がある高齢者の意見がまかり通る日本。一方、働き盛りの30代は、年金や介護、医療費の負担増を強いられ、上がらない給料をやりくりしながら苦しんでいる。
このままでは日本経済の活力が完全に失われる!
本書では、高齢化社会のための負担増を真っ向から否定。
「おカネがある世代は、自力で生き抜く」ことを前提に、年金、医療問題のシンプルな解決策を提案。
働き盛り世代のモチベーションが上がるアイデア満載の経済オピニオン書。


目次・立ち読み

第一章 若い世代の活力を甦らせるために
――団塊世代よ「悠久の日本国民」の声を聞け!


[1.下山するなら自力で下りろ!]
[下山するなら自力で下りろ!] 立ち読み PDFで読む

日本は本当に下り坂に入ったのか?/若い世代に負担をかけるな、登る人の邪魔をするな/経済力の低下、その先にくる本当の悲劇とは?/自力で下りられる財力はあるはずだ/


[2.多数派は自ら決断せよ!]

世代間の闘争は起きるか/「悠久の日本国民」の声なき声は反映されない/「ティーパーティ」と「ウォール街を占拠せよ」/政治的思惑と打算で動く日本政治/「市民」不在の「市民運動」/TPP問題、東電問題への対応/「都会vs地方」という論点も曖昧に/「大阪維新の会」のアジェンダを見よ/真っ先に超高齢社会になる日本が見本に/まず世代間の不利益の再分配が必要/


[3.決断が遅れると、痛みはどんどん大きくなる]

高齢者の医療費をどこまで負担するのか/最終局面で決断したJALのOB/NTTが負けた年金額の削減問題/裁判所の判断は絶対ではない/既得権も、もとをたどれば取得権/一律カットでは改革にならない/「みんなで一緒に」の建前は吹っ飛ぶ/心ある「上の世代」の人々へ/



第二章 塩漬け預金を社会に還元する方法
──年金と医療の見直しで上の世代のストックを吐き出させる


[4.国のお金は自分たちの税金だ!]

なぜ世代間賦課方式になったのか?/社会保険料も税金も国民のポケットから出ている/負担を上げて、給付を下げるしかない/AIJ事件も根っこにあるのは、公的年金の制度破綻/国のお金は納税者のお金/年金の再分配では国はエージェントにすぎない/


[5.手持ちのストックで老後を過ごしてもらう]

どうやって所得移転をはかるか/資産課税は有効か?/資産や所得のある人には年金の支払いをストップする/死は避けられない。ならばどう死ぬか/


[6.「あるだけ解散」と「長生き保険」創設で年金問題は一気に解決!]
[「あるだけ解散」と「長生き保険」創設で年金問題は一気に解決!] 立ち読み PDFで読む

もそも年金保険とは何なのか/最低限の保障を公的年金で/既存の公的年金は「あるだけ解散」でご破算にする/よくある反論は反論になっていない/憲法違反論もナンセンス/長生き保険で、給付も負担も劇的に減る/理想は目的税としての「社会保障税」/


[7.ふくらむ医療費をどう抑えるか]

どこまで保険でカバーすべきか/すべて自由診療か、自由診療は一切禁止か/医療費の上限は自分で決められるべき/高齢者の一割負担は是か非か/団塊の世代以降は「もらうに値しない」/ 大人は年齢に関係なく三割自己負担にせよ/長生きし、年を取ること自体は、もはやかわいそうでも不幸でもない/



第三章 日本人に合った税体系と働き方
──労働市場改革で若年層へ雇用と所得を移転する


[8.より公正な税金のあり方とは?]

税による再分配には限界がある/借金財政もじつは若者からの搾取/寄付を活用できないか/ 「たとえば貧困対策に使われるなら納得」/


[9.定年廃止、解雇規制緩和、完全能力給の導入]

定年制は年齢による差別だ/労働市場の三位一体改革で若年層雇用の再生を/日本的雇用は経済合理性から生まれた/35歳を過ぎたらあとは落ちるばかり!?/知的労働的な仕事が増える時代の雇われ方/厚労省と文科省の仕事を民間企業が代行してきた/労働者の生産性に応じて公平に賃金を支払う責任/ 生産性を省みないもう一つの不幸……人材流出/


[10.働き者の日本人は“生涯現役”が理想]

仕事が最大のエンターテイメント/関係性を断ち切られることは苦痛でしかない/ソーシャルネットワークが「関係性」を強化した/カイシャ延命政策よりNPOなどのサブコミュニティ支援を/「関係性」は働くことで維持される/幸せな老人だから税金を払う/



第四章 グローバル時代の人材育成──
大学再生と格差解消のための教育システム


[11.大学を職業訓練校へ]

学生に対してまともな教育ができていない/オリンピアンとジョギング好きを一緒にするな/ そもそもビジネススクール、ロースクールは高等職業訓練校/企業が教育にお金をかけなくなってきた/文系の学生には必ず簿記の勉強を/英語の入試も大学の評価もTOEICで一本化/ プロフェッショナルとアカデミックの垣根が低い米国/司法試験ってどうよ?/実学、プロフェッショナルスクールで真に一流の先生とは?/教えるプロを育てる/


[12.格差固定・貧困の連鎖を断ち切るために]

正社員の枠から漏れた人の「ハンディキャップ」とは/収入の差が子どもの世代まで受け継がれる/教育バウチャーで格差解消/単なるバラマキではなく、評価と一体に/


[13.教育サービスには競争原理を]

アジアの人たち、コンピュータとの競争/格差拡大のもう一つの現代的な要因/実質的「機会の平等」……何を規制し何を緩和するのか/職業訓練能力でレーティングを/東大が改革の先頭に立つべし!/



第五章 日本の強みを生かした成長戦略
──医療とエネルギー分野でイノベーションを


[14.超高齢社会にフォーカスせよ!]

高齢医療、福祉、介護の分野にイノベーション!/日本得意のすり合わせ技術の世界なのに……/遠隔医療がつくる新しい産業/人間の可能性を信じるか、信じないか/過疎化+人口減が先行する地方でシミュレーション/復興特区と「なんちゃって規制緩和」/「抜けている」リーダーの決断力/


[15.電力不足がイノベーションを生む]

オイルショックと日本の「エネルギー革命」/通信イノベーションの歴史と電力産業の未来/電力自由化からスマートグリッドへ/最新の技術が最も信頼性が高くなる/エネルギー分野でアドバンテージがある日本/電力会社こそ市場改革、産業イノベーションの旗手となれ!/


[16.グローバル競争に打ち勝つために]

ソフト面の売り込みが課題/経営トップの多国籍化が必須/GDP(国内総生産)からGNI(国民総所得)へ/九割以上がアウェイの市場で戦う/本社自体がグローバル化しなければ戦えない/「日本生まれの企業は日本の会社」/国内向けB2Bでも稼げなくなる/ケイパビリティとシェアード・バリュー/



第六章 リアル革命のススメ
──近未来、いまの三〇代がこの国の覇権を握るために


[17.日本的革命の論理とタイミングを理解せよ]
[] 立ち読み PDFで読む

まだ十分に悪くなっていない日本!?/5年後ぐらいが一つの分水嶺/ムラ人たちの革命はいつも曖昧/イデオロギーで革命は起きない/「リアル未来主義」を武器に、弁証法的に身をかわせ!/科学の神話で命を落とす人を減らすために/


[18.世代の戦闘能力を高めよ!]

親子の対話が一つの鍵/「名誉革命のススメ」をしつこく繰り返せ!/革命の練習は職場から/ 世代的な団結を強めることの重要性/固有名詞と集合名詞の使い分け/


[19.選挙に行くことはとっても大事]

政治家はとても選挙の結果に敏感/こういう政治家には投票するな!/最高裁判所裁判官国民審査で×をつけることの重要性/若い世代の投票行動が新しい政治構造を生み出す/


[20.若い革命家が老練な抵抗勢力に足をすくわれないために]

上の世代の悪魔のささやき/マスコミに加わる宿命的なバイアス/インフレタックス論vs財政再建論/改革派が内部分裂を起こしやすい理由/名声、権力、お金のすべてを手に入れてはいけない/課題最先進国ニッポンの30代よ、世界のさきがけとなれ!/


著者からのメッセージ

30代よ、立ち上がれ! 団塊世代よ、品格を見せてみろ!
(本書 はじめに より)


大きな社会変革、もっとストレートな表現で言うと「革命」の背景には、深刻な階級対立が存在する。我が国の場合も例外ではなく、古く源平の争乱の背景には勃興する武士階級と旧支配階級である公家勢力との対立があった。明治維新も、結果的に封建身分制の頂点にあった士族階級の解体をもたらし、それがアジアで唯一、19世紀における近代国家の誕生を可能にした。


この20年、日本社会は、政治的にも経済的にもじわじわとその活力を失ってきた。その前の繁栄の時代に積み上げた膨大な蓄えがあったために、いまを生きる私たちが貧困、争乱、疫病、飢餓に苦しむ事態には至っていない。しかし、問題の根の深さは、パッチワーク的な対症療法では済まない深刻なものであること、問題解決には「革命」的な社会変革がどこかで必要なことを、多くの日本国民は薄々理解している。それが、小泉政権登場時から郵政選挙に至る熱狂、現在の大阪の橋下徹氏に対する期待感の盛り上がりに表れている。


では、今日の日本社会に大きな変革を求めるような、深刻な対立軸は何か? 私は世代間対立こそ、最も重要かつリアルに階級的な対立構図の一つだと考えている。実際、最近、内閣府が公表した統計で、いわゆる貧困ライン(4人世帯で可処分所得250万円前後)を下回る子育て貧困家庭における所得再分配後の所得が、再分配前を下回っているという驚くべき事実が明らかになった。逆に上の世代へいくほど、再分配後の所得増加幅が大きくなっている。我が国の所得再分配の中心は社会保障制度である。そしていまの制度は、貧困子育て家庭という、最も所得再分配の恩恵を受けるべき人々でさえ、上の世代に搾取される構造になっているのだ。


その一方で、日本の個人金融資産1500兆円の大半を60代以上の人々が持っている現実。私たちの国では、資産も所得もない若い世代から巻き上げて、資産も所得もある上の世代に配っているのだ。じつは企業のレベルでも、終身年功制と企業年金という仕組みの下で、同じような収奪構造がまだまだ温存されている。


税と社会保障の問題も、財政悪化の問題も、規制改革を阻んできた既得権構造の問題も、若年層失業と格差の問題も、問題の根を掘り下げていくと、最後はこの世代間の収奪構造の問題に行き着く。この仕組みの中で、若い世代が収奪側である親の世代に寄生し、草食化して内向きになるのは、きわめて自然な成り行きなのだ。


こんなバカげた仕組みは、いい加減に破壊しなくてはならない。これは新自由主義対社会民主主義、アングロサクソン型資本主義対ライン型資本主義などというイデオロギーの問題ではない。従来、社会民主主義モデル、ライン型モデルにより近い大陸欧州の国々は、雇用保障や労働者保護に手厚いと言われていた。しかし現在、これらの国々の若者は、異常に高い若年層失業率に苦しんでいる。結局、20世紀につくり上げてきた社会システムが守っているのは、既得権を持っている上の世代だったということか。


本書の中でも触れているが、現代の先進国経済は、イデオロギーに関係なく、産業構造的、社会構造的に、所得格差の拡大に苦しむ問題を抱えている。その意味で、有効な所得再分配の仕組みの重要性は増しているのだが、もはや資本家対労働者、小さな政府対大きな政府といった古い対立構図は、あまり大きな意味を持っていないのである。繰り返すが、世代間対立こそが、より本質的な問題なのだ。


しかし、日本を含む大半の先進国で少子高齢化が進み、人口構成は逆ピラミッド型。民主政治の下では、いまのところ既得権を持っている上の世代が多数派であり、世代間収奪の仕組みを民主的政治プロセスで根本的に転換することはきわめて難しい。民主政が歴史上、初めて直面すると言ってもいい深刻なジレンマである。


私は、この問題構造において、世界の最先端を走る日本にこそ、解決モデルを世界に提示する使命があると思っているし、それが日本再生に向けて残された最後にして最大のチャンスでもあると考えている。そして、その主役となるべき世代こそ、従来の仕組みでは絶対に負け組となる世代の先頭を走っている30代の人々だと思っている。


彼ら、彼女らが世代的・階級的自覚を持って立ち上がったとき、日本はやっと大きな変革に向かって動き出すような気がする。この世代は、新卒就職からいきなり就職氷河期。運よく就職できても日本経済は停滞の連続。何も成功体験がないし、それなりに苦労もしている。「革命」を担うには最高の、すばらしい世代ではないか。


次に問われるのは、30代の親の世代にあたる団塊の世代のスタンスである。民主政治の多数派である上の世代の、そのまた最大多数世代であるこの人たちが、どこまで世代としての品格を見せられるか。自分の子どもたちのもっと先の世代を含めた未来の日本人、「悠久の日本国民」に対して、いかなる責任を果たせるのか。この世代が、若い世代の声に本気で共感し、自分たちの既得権を粛々と放棄する決断をしたとき、日本は先進民主主義国の中で初めて、世代間収奪のジレンマからの脱却に成功する。


本書は、こんな問題意識から、1960年生まれの狭間の世代の人間として、この二つの世代に対して問題提起をし、挑戦をし、さらには決起を促すことを意図している。そのために、あえて、かなり過激な解決策やきわどい覇権奪取の方法論を提示している。いずれも読者として想定している世代の皆さんの心に火をつけることを目的としているので、失礼があったらお許しいただきたい。すべては未来の日本、子どもたちの時代の日本のためである。


平成24年5月
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