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昔から人混みが苦手で、団体行動も駄目。誰に対しても無関心――。
一見冷徹にも見える浅井静が、唯一気になる人物。それが、遠野詩織だった。
同じ大学の先輩であり、古書店兼雑貨屋の『時計泥棒』でアルバイト仲間でもある詩織は、いつも物憂げな様子で儚い微笑みを浮かべ、何かあるたびに右指の薬指にはめた指輪に触れていた。ある夜、詩織に想いを伝えた静は、予期せず、その指輪にまつわる詩織の過去を知ることになる――。