頁数/仕様
192ページ / 縦:18.8cm 横:12.8cm
初版
2014年12月
在庫
在庫あり

子どもを傷つける言い方・追いつめる叱り方

親の一方通行の思いが、子どもを苦しませてしまいます。「早く!」「○○しなさい!」と言わずに「ビシッと」効く言い方を、ケース別にわかりやすくアドバイスしています。
著者(肩書) 荻野ゆう子《子ども家庭教育フォーラム・チームカウンセラー》
主な著作 『心の新芽がでたよ』(北水)
編集等
税込価格 1,320円   (本体価格:1,200円)
対象 小学生の保護者
頁数/仕様 192ページ / 縦:18.8cm 横:12.8cm
初版 2014年12月

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親子は人間関係。傷つくこともあります。
大切なのは仲直りしていくこと。

この本を、いまどんな思いで手に取られているのでしょうか。
自己主張が強くなり、なかなか親の言うことを聞かないわが子。それでも、言うべきことは言わずにはいられない日々のなかで、ふと目にとめてくださったのでしょうか。
「宿題はもう済んだの? ゲーム(テレビ)は宿題をしてからでしょ!」
といくら厳しく言っても、
「うん……、わかってる……。」
と子どもは生返事ばかりで、すぐに行動に移す様子もありません。
お母さんは穏やかに待とうとしても結局、業を煮やして、
「もう! 何度同じことを言わせたら気が済むの!」
と、強い口調になってしまいます。
けんかをしたいわけではないのに、親も子も傷つき、疲れてしまうという現実。でもそれは、親の子どもへの思いの深さゆえです。他人になら我慢できることも、わが子のことは他人ごとでは済まないからです。
子どもが小学生になると、その成長はうれしいものの、親として「しっかりしつけておかなければ」と、わが子への注文も増えていきます。その結果、いまできていることがたくさんあるのに、「足りない」ことや「できていない」ことばかりに目がいってしまいがちです。
これが赤の他人だったら、大目に見られますが、わが子となればつい口うるさく言ってしまいます。親子となると放ってはおけないのです。子どものころ、「親だから、言うのは当たり前でしょう?」と、両親に言われたことを思い出す人もいるのではないでしょうか。
これこそ、「親になってこそ気づく、親の気持ち」ですね。でも、わたしたちはそのぶん、子どものころの気持ちを忘れてしまうのかもしれません。親に叱られつつ、親にどんなことを願っていたでしょうか?
小学生時代の子どもたちは、学校という集団生活のなかで自我を育て、自分の価値観を形成していきます。とくに、高学年になり思春期を迎えつつある子どもたちは、親心が自我とぶつかり、葛藤を抱えやすくなります。こうして、親子の「バトル」が起こるわけです。
だからこそ、親子関係は人間関係であり、子どもにとって人間関係の原点であることを、親はいま一度自覚する必要があります。親子といえども別人格なので、わが子は親の思いどおりにはなりません。「親の言うことを聞かない子なんだから……」と親が思うように、子どもも「ぼく(わたし)のお母さんは、全然子どもの気持ちをわかってくれないんだ……」と思っているのです。
わたしはカウンセリングを通じて、多くの子どもたちとその親御さんと出会ってきました。そこで思うのは、親と子は人と人が向きあい、わかり合っていく、その営みを学び合っているということです。
小学生の時代は、とくに親子が「しつけ」を通じてぶつかりあう時期です。まさに「叱る」ことを通じて人間関係を築きあげているのです。本書では、「叱る」こともコミュニケーションであり、「叱りっぱなし」にしない関係を考えていきたいと思います。
おたがいにぶつかりあっても、わかりあう努力をしていく、その姿を見せられるのは親です。本書のキーワードである「ビシッと」とは、傷ついてもわかりあえることを信じてわが子と向きあう姿です。自分自身の、日々の「ビシッと」と重ねあわせてくださったらうれしいです。
この本をまとめることができたのも、これまで出会ってきた多くの親と子のみなさんのおかげです。また、PHP研究所の宇佐美あけみさんの思いがなければ、形にはなりませんでした。感謝申し上げます。この本も人とのつながりのなかにあるということをあらためて実感しています。

切っても切れない親子関係のなかで、親と子が濃密に関わる「いま」を、いつか「あんなこともあったね」と言いあえる親子になることを、願っています。  (「はじめに」より)

【Part1】お母さんの言葉が、届かないのはなぜ? ── 悩み別
◆子育ての悩みはひとりで抱えこまないで
・ついイライラしていませんか
・言葉で子どもを傷つけていませんか
・「聞きわけのいい子」で安心していませんか
・子どもの成長を親の通知表と思っていませんか
・子どもの歩みを先取りしていませんか
・親の矛盾に気づいていますか
・「心に届く=言うことを聞く」と思っていませんか
・子育てに成果を求めていませんか
・わかりあう努力をしていますか
・子どもを親のあこがれにしていませんか
・自分の影を子どもの影に重ねていませんか
・親だからと素直になれないことはありませんか
・しんどさを抱えこんでいませんか
・気になる問題を押しつけていませんか
・子どもの育ちを信じていますか
・何度も同じことを言わせていませんか
・子どもをもどかしく思っていませんか
・親の「よかれ」が子どもの「よかれ」になっていませんか

【Part2】お母さん、ぼく(わたし)のことわかってよ! ── 子どものつぶやきから
◆言葉にならない気持ちを聞いてほしい
・「いつもぼく(わたし)ばっかり……」
・「ちゃんとしようと思っているけどできない」
・「どうせぼく(わたし)なんか……」
・「どうしていいか、わからない」
・「そんなつもりじゃないのに……」
・「ほんとうにこれでいいのかな」
・「ダメなところしか見てくれない」
・「お母さんだってダメなところもあるくせに」
・「わたしみたいなダメな子、よそにはいないよね」
・「こっちの言い分を少しは聞いてよ」
・「まわりの人とくらべないでよ」

【Part3】傷つけていませんか? 追いつめていませんか?── 子どもに効くビシッと言葉
◆子どもを傷つけない3つのポイント
・「片づけをしなさい!」
・「ごはんを早く食べなさい!」
・「静かにしなさい!」
・「お風呂に入りなさい!」
・「早く寝なさい!」
・「兄弟げんかはやめなさい!」
・「約束を守りなさい!」
・「『うるせーな』じゃないでしょ!」
・「遅刻するわよ!」
・「ゲームをやめなさい!」
・「宿題をしなさい!」
・「けんかしちゃダメじゃない!」
・「ピアノをさぼったらダメでしょ!」
・「なんでも食べなさい!」
・「この点数はどうしたの!」
・「また忘れ物をしたの!」

【Part4】「何回も同じことを言わせる」子どもとの関わり方 ── 母親の言葉から
◆追いつめない話し方
・「この前、約束したよね?」
・「あなたはまだ、がんばれる」
・「なぜ、学校に行ってから宿題をするの」
・「宿題をやらないとどうなる?」
・「ゲームは1時間って決めたよね」
・「いつもグズグズしているよね」
・「そのとき、なにがあったの?」
・「怒らないから言ってごらん」
・「学校にゲームを持っていってはいけないね」
・「怒られたことを悪いと思っているのね」
・「お母さんも家庭科が苦手だったのよ」

【Part5】親子の傷つきを笑顔にする11のポイント ── カウンセリングの現場から
◆「ごめんね」「ありがとう」「おはよう」などの言葉がけを
・お母さんから心を開く(自己開示)
・うなずいたり「そうね」と相づちをうつ
・子どもの言葉を聞いてなぞる
・話を深めるために関心をもって訊く
・言葉にならない気持ちを察して聴く
・家族みんなでわかちあう(シェアリング)
・体だけでなく気持ちも抱きしめる(ホールディング)
・感情をそのまま受け止める(受容)
・子どもの価値観を受け止める(共感)
・親と子は別人格と思う(自己一致)
・「いま」が続くわけではなく変化していくととらえる

【Part6】思春期を迎えるわが子とともに学んでおきたいこと
◆子育てに大切な3つのキーワード
・「いい子」と「いい親」の関係とは
・人と関わることのつらさとは
・子どもの人間関係の悩みとは
・問題がなさそうな子どもの場合は
・子どもの健気さを掘り起こす