サイズ
104ページ(ぬり絵47ページ) / 縦:21cm 横:21cm
初版
2015年6月
在庫
在庫あり

心が整うマンダラぬり絵

あなただけのマンダラ、描いてみませんか? 難しいルールはありません。身近な画材、好きな色で、自由に描くことでリラックス&リフレッシュ効果が得られるぬり絵帳です。
監修 鈴木智子《行動科学研究所所長》
主な監修商品 『認知症予防マンダラぬり絵100』(PHP研究所)
編集等
税込価格 1,100円   (本体価格:1,000円)
対象 一般
サイズ 104ページ(ぬり絵47ページ) / 縦:21cm 横:21cm
初版 2015年6月

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■「今」ぬりたい絵はどれですか?
本書を手に取ってくださった方に、最初にお伝えしたいこと。それは、本書の使い方は皆さんの「自由」だということです。
本を開いて、絵を眺めてみてください。気になるマンダラ、好きなマンダラはありますか? まず、ぬりたいマンダラを自由に選んでみましょう。気に入ったものが何枚かあったら、その中でも、「今の気分」に一番ぴったりのものを選んでぬってください。
「これがいいな」
「これをぬってみたい」
そう感じる絵に出合えたら、その絵が今のあなたにとっての「最良のマンダラ」なのです。
ぬる順番に決まりはありません。また「これはぬらなければならない」という絵はひとつもありませんから、手をつけないままの絵があってもかまいません。
さっそくぬりはじめてみましょう。
気に入った絵は、何度もぬって楽しめるよう、ぬる前にコピーをとっておくとよいでしょう。

■自由奔放にぬりましょう
マンダラのどの部分からぬるかも、決まりはありません。「まん中からぬりたい」「端からぬりたい」という心のままにぬり進めていきましょう。
色の選択も、もちろん自由。
隣り合った部分を同じ色でぬってもいいし、チェック模様にしたり、水玉模様にしたりと、ご自分で柄をつけるのも自由です。
ひとつの絵を30分ほどでぬる方もいれば、1時間、1時間半と時間をかける方もいます。ご自身のペースで進めてください。一人で静かにぬってもいいし、誰かと一緒におしゃべりしながらぬってもいいのです。
途中でやめたくなったらやめてください。後日、気が向いたら続きをぬるのもいいですね。あるいは、ぬらずに、そのままにしておいてもかまいません。ぬりかけた絵を途中でやめて、他の絵を選び直したくなったら、そうしてください。
このように申し上げるのは、ふだんあなたをしばっているいろいろな約束事や、そのために起こる強迫観念などから心を解放することが、本書の大事な目的のひとつだからです。
何者にも制約されない「本来のあなた」のマンダラを見つける旅には、何よりも自由が必要です。自由奔放さを、大切にしてください。
なお、マンダラの裏面には通し番号とメモ欄があります。ぬったときの年月日や心境などを書きとめておくのもよいでしょう。

■画材は手近なものを
ぬるための画材は、私のセミナーでは、オーソドックスなクレヨンを使っています。「クレヨンを使うのは何年ぶりだろう」と、皆さん懐かしがってくださいます。素直な気持ちになるには、クレヨンはよい画材だと思います。でも、クレヨンにこだわる必要はありません。色鉛筆、カラーのサインペンやボールペンでもいいのです。すぐ使える身近なもの、好みのものをお使いください。
色数は16色ぐらい揃っていれば充分です。6色や8色でも大丈夫です。私は過去、セミナー20000人あまりの方にマンダラぬり絵を体験していただきました。その結果、深く悩み苦しんでいる人、楽天的な人、どんな人でも、使いたい色にそう違いはない、ということを知りました。ですから、16色もあれば、色が足りなくて気持ちを表現できないということはないはずです。

■「こう思われたい」という気持ちは捨てて
マンダラをぬるときに、「途中でやめてはいけない」と思いながらぬるのはやめましょう。
途中でやめたくなったら、途中までぬったその絵が、
「あなたの今のマンダラ」
です。中断したら無駄になるというわけではないのです。
「最後までやらなくては」と思ってしまうのは、社会があなたに課したルールにとらわれているから。人は誰しも、知らず知らずのうちに、他人の目を気にして生きています。周囲の評価を得るために、私たちの自意識は、自分の心の奥をだまし、「こうしなければならない」という約束事の通りに動かそうとします。
でも、マンダラをぬるときに、自意識を働かせすぎるのは禁物です。たとえば、
「赤やピンクを使いたい。でも、子どもっぽいねって思われるかな」
「暗い色ばかりでは、暗い人と思われるかも」
「綺麗にぬって、センスのいいところを見せたい」
こんなふうなことを考えながらぬっていると、だんだんぬることに抵抗を感じるようになります。敏感な方だと、軽い頭痛や吐き気を感じたりすることもあります。
紙にいろいろ線が引いてある、そこに色をぬるだけなのに、自分を偽り他人の目を意識したために気分が悪くなる……。
不思議なことですが、本当の話です。
ですから、マンダラぬり絵をしていて「続きをぬりたくない」と感じたら、その気持ちを大事にしてください。無理に続けると、「心を整える」という効果から離れてしまいます。

■ぬるうちにスッキリする「自己治癒」効果
反対に、1枚ぬり終えて「もう1枚ぬろうかな」という気分になれたときは、どうぞお続けください。ぬる前にコピーしておいた同じ絵をもう一度ぬって、1枚目と比べてみるのも面白いと思います。
私の経験では、1枚目と比べて、2枚目のほうがスッキリまとまった印象を受けることが多いと感じています。
それは、マンダラをぬるうちに、心の中が自然に整理されていくからでしょう。
自分のこと、人間関係のこと、仕事のこと、子どもの将来のこと、老後のこと等々、意識している、いないにかかわらず、私たちは心の中に、さまざまなあれやこれやを抱えています。
あなたが選んだマンダラは、そうしたあなたの心象風景を映し出しています。
そのマンダラをぬっていくことは、心の中を見つめ、解決の糸口を見つけて、自分で自分を立て直していくことにほかなりません。
これが、マンダラぬり絵の心を整える効果、「マンダラによる自己治癒」と呼ばれるものです。
ぬるうちに心がほぐれて、「まあいいか」と思えたり、楽しかったことをふと思い出して幸せな気分になれたりするのは、こうした効果のあらわれなのです。

■マンダラぬり絵は心を整える手法のひとつです
私はずっと、人間が心と体の調和を保って、本来の自分らしく生きていくには、どんな諸条件が必要で、どんな要素が調和の邪魔をするのかを研究してきました。マンダラぬり絵は、私の専門である行動科学の手法を取り入れた、心と体の調和を取り戻す方法のひとつです。
現代人の悩みは複雑で、簡単に答えが出ないケースもあります。そのため、悩みがきっかけとなって、心身の調子が崩れてしまうこともよくあります。そんなとき、心の調子を整え、立て直すきっかけとして役に立つのが、マンダラぬり絵です。
お年寄りと同居し介護に明け暮れる人、四六時中子どものことが頭から離れないお母さん……そんな方々が、
「最初はぬる元気もないと思っていたけれど、1枚ぬってみたらなんだか肩の力が抜けて、楽しかった」
「明日も、仕事が続けられそうだわ」
よくそんなふうにおっしゃいます。
現在、これといって悩みがないという方も、
「なにかスッキリしないなあ」
「最近楽しいことがない」
「このままでいいのかな」
とふと気になったときなどに、構えずにぬってみることをおすすめします。心が解放され、リフレッシュできたと感じられるでしょう。

■マンダラは気づきに至る道
元来のマンダラは、密教の僧侶が、宇宙とは、生命とは、人間とは、心とは……と、そのいちいちの真理を求め、生涯をかけて修行する、そのプロセスに使う、一種の「装置」です。
私自身、何度かチベットやネパールに旅し、どの寺院でも僧侶がマンダラに向き合い、修行を重ねる姿に出会ってきました。
一般的なマンダラ図は、中央に大日如来が描かれ、その周りにさまざまな仏たちが配されています。僧侶たちは、このマンダラの絵をたどって悟りに至ろうとします。
私たちは死ぬことに恐怖を感じますし、家庭でも職場でも悩みは尽きません。それらの心配ごとや迷いをすくい取り、癒してくれるのがマンダラです。僧侶たちが修行の中でマンダラを見つめ、お経をとなえながら、マンダラの中に入り込んで悟りへの道を探るように、私たちも「ぬる」という手仕事に没頭するうちに、自然とマンダラの図柄を巡っています。そうしていくうちに、
「何でこんなことに悩んでいたんだろう」
「なぜ今まで気づかなかったんだろう」
と、もともと自分の中にあったヒントを探し当て、乱れていた心を整えることができるのです。

■嘘がつけないマンダラぬり絵の世界
マンダラの模様にはそれぞれにテーマがあり、またぬるときに選ぶ「色」も、象徴的な意味をもっています。
しかし、マンダラをぬるときに、そうした知識をもっている必要はありません。ぬる人の知識の有無にかかわらず、ぬり絵にはその人の心が自ずとあらわれるからです。
私は、マンダラぬり絵のセミナーに参加した方の絵を拝見していて、皆さんが無意識のうちに本心をあらわす「色」を使っていることに、いつも驚かされてきました。
人目を気にしてぬった場合でも、反対に何も考えず、行き当たりばったりにぬった場合でも、ぬり絵の中には本心を語る色が必ず入ってきます。
仮に色の意味について学んで、その知識をもとに、「こんな自分でありたい」と意識して色をぬっても、結果は頭でこうしようと考えたものとは違ったものになるでしょう。
「自分は男だから」とか、「暗い気分を表現したい」と意識して暗い色を多用したとしても、完成したマンダラ絵を見ると、使うつもりでなかった明るい色がどこかに使われていて、結果として、思いや願望といった、意識とは関係のない、本来の自分の絵に仕上がっている――マンダラをぬっていると、そんなことがよく起こります。
マンダラぬり絵では、嘘はつけないのです。それがマンダラの力です。色をぬることで、誰でも本心を出して素直になれる、そんな世界でもあります。そこに「安心」と「癒し」があります。
マンダラをぬることは、自分の心の中を散歩するようでもあり、「色をぬる」ということで行なう現代版の巡礼のようでもあります。
その時々の心の動きのままに、素直な気持ちで歩き出してみてください。
そうすれば、マンダラはしばし時を忘れさせ、楽しませてくれるでしょう。
出来上がった絵も、あなたを癒してくれます。気に入った絵は、眺めたり壁に貼ったり、額に入れて飾ったりして楽しんでください。絵の向きにも特に決まりはありません。好きな向きに飾りましょう。

■唯一無二の「あなただけのマンダラ」を
私が所長を務める行動科学研究所では、企業勤めの男性や女性、子育て奮闘中といった方々に、二十数年にわたってマンダラぬり絵をしていただいております。その経験をもとに、どなたでも自宅でマンダラぬり絵をしながら自分自身で心の整理ができるよう、まとめたものがこの本です。
マンダラぬり絵で面白いのは、「一人たりとも、同じようにぬる人はいない」ことです。ぬられた絵は、一人ひとりの心の絵模様。「いい」「悪い」はありません。ですから優劣もありません。
「ぬりたい」と感じる絵に出合い、色をつけ、自分だけのマンダラを完成させる―それはきっと、心安らぐ癒しの時間になるでしょう。本書でそんなひとときを過ごして、あなたの気持ちが少しでも軽くなり、リラックスできたなら、これにまさる喜びはありません。  (「はじめに」より)