頁数/仕様
176ページ / 縦:18.8cm 横:12.9cm
初版
2017年7月
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男の子の自立を決めるお母さんの叱り方

「コミュニケーション力」「自分を愛する力」「やり抜く力」「楽しむ力」「耐える力」「助ける力」――叱り方を変えれば、男の子の自立に必要な6つの非認知能力が身につきます。
著者(肩書) 小﨑恭弘《NPO法人ファザーリング・ジャパン顧問》
主な著作 『思春期男子の育て方』(すばる舎)
編集等
税込価格 1,320円   (本体価格:1,200円)
対象 幼児~小学生の男の子の保護者
頁数/仕様 176ページ / 縦:18.8cm 横:12.9cm
初版 2017年7月

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■子育てはみんなで分かち合って

僕は大学で保育を専門に教えています。その前は保育士として日々、子どもたちと接していました。3人の男の子の父親です。さらに父親支援の研究をしていて、NPO法人ファザーリング・ジャパンの顧問をしています。こうした経歴から、「男の子育てのプロ」というふうに呼ばれたりしています。とはいえ、父親として満点かどうかはわかりません。というより、満点でなくてもいいと思っています。最近よく「イクメン」という言葉が聞かれるようになってきました。お父さんと子どもだけで出歩く姿も珍しくありません。しかし父親だけの育児がよいとは思いません。子育てには「母性」と「父性」の両方が必要だと思っています。

お母さんが母性、お父さんが父性というわけではなく、あるがままを受けとめて愛するのが母性、そのうえでダメなことはダメだと教えるのが父性です。母子家庭だから、お母さんがどちらも兼ね備えなければダメだということはありません。
母性と父性のバランスをとるのは至難の技です。ですから、ひとり親家庭に限らず、多様な人が子育てに関わり、それぞれに母性や父性を発揮することが大事だと考えています。おじいちゃん、おばあちゃん、保育園や幼稚園の先生、ご近所さん……。子どもはみんなで育てていきましょう。

あえてこんなことを言うのは、今、子育てが非常に難しい時代だとつくづく感じるからです。少子高齢化社会で、「もっと子どもを増やそう」とさかんに言われるわりに、子どもや親に対するまなざしは決して温かくはありません。子育てに対する期待値も非常に高くなっています。「元気で、明るくて、誰とでも仲よくできて、人に迷惑をかけず、言われなくても勉強して、スポーツも得意で……」と、どこまでも期待する。そういう子に育てることが子育ての目標になっています。 
そのプレッシャーを一身に受けるのがお母さんたちです。結果として、お母さんは子どもたちに過度な期待をし、そのためにたくさんの子どもたちがしんどい思いをしている―というのが今の子育ての姿ではないでしょうか。

保育の現場でたくさんのお母さんたちと出会ってきました。今もさまざまな場面で出会います。総じて思うのは「完璧主義」です。完璧な子育てを目指して、自分も子どももがんじがらめに縛り上げるようなルールをつくり、そこから外れたら大変なことになると思い込んでいる姿は、痛々しいほどです。

子どもは決して思い通りにはなりません。なにしろ生まれてまだ数年。日々、生きていくためのレッスンをしているようなものです。「もっともっと」と完璧を求めるのではなく、今の姿を十分に認めて、褒めてあげてほしいと思います。そういう意味で、世間が賞賛するような「100点満点の親」を目指さなくてもいいんです。
これが子どもたちが必要としているものです。

1【生理的欲求】「寝たい」「食べたい」「飲みたい」「トイレ」
2【安全欲求】安全で落ち着いた場所で、信頼できる人と過ごしたい
3【社会的欲求】「遊びたい」「一緒に何かをしたい」
4【自我欲求】自分が興味のあることをしたい
5【自己実現欲求】自分のしたいことをしたいという挑戦する気持ち

欲求には順番があります。低次元の欲求が満たされないと、より高次元の欲求は湧いてきません。あるいは後回しになります。

つまり、生理的欲求→安全欲求→社会的欲求→自我欲求となります。最終到達点となるのが、自己実現欲求ですね。自己実現欲求は無限に広がり、生涯を通じた生きがいにも通じます。
そして子どもたちは、こうした欲求を満たしてくれる人が好きです。
子どもと信頼関係を築くには、ただ「親である」ということだけではなく、日常の世話を愛情をもっておこない、いつも安定した関わりをもち、失敗や繰り返しにも辛抱強くつき合っていくことが大事なのです。  

(プロローグ「叱り方」が男の子の育ち方を大きく左右します より一部抜粋)

【プロローグ】
・「叱り方」が男の子の育ちを大きく左右します
・子育てはみんなで分かち合って
・1日1日を丁寧に積み重ねることの大事さ
・社会経験のなかで上手な転び方を教える
・叱り方を変えれば、子どもが変わる

【第1章】コミュニケーション力
男の子の自立に必要な能力(1)……コミュニケーション力
〈つい言ってしまう言葉〉
ケース(1)「どこ見てるの(怒)!?」
ケース(2)「ちゃんと聞きなさい」
ケース(3)「自分の口で言ってごらん!」
ケース(4)「なにを言ってるのか、わからない」
ケース(5)「なにを笑ってるの!」
ケース(6)「黙っててもわからないよ!」

【第2章】自分を愛する力
男の子の自立に必要な能力(2)……自分を愛する力
〈つい言ってしまう言葉〉
ケース(1)「なにをやってもダメね」
ケース(2)「そんな子はお母さんきらい」
ケース(3)「努力が足りない」
ケース(4)「○○君はもっとできたよ」
ケース(5)「いつも言ってるでしょ」
ケース(6)「もう少しがんばれたんじゃない?」
ケース(7)「賢い○○君は大好き」
ケース(8)「そんな子はいりません」

【第3章】やり抜く力
男の子の自立に必要な能力(3)……やり抜く力
〈つい言ってしまう言葉〉
ケース(1)「そんなことをしても無駄」
ケース(2)「もっとこうするの!」
ケース(3)「要領悪いね」
ケース(4)「負けたらダメ」
ケース(5)「上手にやりなさい」
ケース(6)「もっと周りを見て」
ケース(7)「泣かないの」

【第4章】楽しむ力
男の子の自立に必要な能力(4)…… 楽しむ力
〈つい言ってしまう言葉〉
ケース(1)「いつまで遊んでるの」
ケース(2)「ふざけないで」
ケース(3)「早くしなさい」
ケース(4)「今じゃなくていいでしょ」
ケース(5)「もっと集中して」
ケース(6)「じっとしてなさい」

【第5章】耐える力
男の子の自立に必要な能力(5)……耐える力
〈つい言ってしまう言葉〉
ケース(1)「我慢しなさい」
ケース(2)「文句言わないの」
ケース(3)「男の子でしょ」
ケース(4)「また今度ね」
ケース(5)「お約束したでしょ」
ケース(6)「そんなことする子はきらい」

【第6章】助ける力
男の子の自立に必要な能力(6)…… 助ける力
〈つい言ってしまう言葉〉
ケース(1)「甘えないの!」
ケース(2)「自分でやってごらん!!」
ケース(3)「自分の責任でしょ!」
ケース(4)「誰も見ていないからいいの!」
ケース(5)「ねっ、わかった!?」
ケース(6)「お母さんの言うことを聞けばいいの!」