頁数/仕様
168ページ / 縦:21cm 横:14.8cm
初版
2019年8月
在庫
在庫あり

女性外来のお医者さんが教える「更年期の苦痛」のやわらげ方

めまい、頭痛、不眠などの症状を「しかたがない」と思っていませんか。本書は女性外来医が自身の経験をもとに、医療機関での治療や家庭でできるセルフケアを紹介しています。
著者(肩書) 天野惠子《野中東晧会静風荘病院特別顧問》
主な著作 『薬なしでも女性の血圧は下げられる!』(PHP研究所)
税込価格 1,320円   (本体価格:1,200円)
対象 一般
頁数/仕様 168ページ / 縦:21cm 横:14.8cm
初版 2019年8月

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私は、1992年12月、子宮筋腫手術時に、卵巣がん予防のためとの医師の勧めで両側卵巣を摘出しました。50歳と1カ月でした。術後1カ月で足の裏の角化、皮膚のたるみなどの皮膚症状が出現し、ホルモン補充療法の一つ、エストロゲン補充療法(ERT:プレマリン1T)を開始しました。皮膚症状はほどなく軽快しました。その後、ERTを継続していましたが、53歳になり、のぼせ、ほてり、発汗が出現。56歳を迎えた冬には、両側の足の裏から腰までのしびれが出現しました。翌夏にはしびれはいったん軽くなりましたが、秋口から再び悪化。神経内科、物療内科、整形外科と受診しましたが、検査上は異常なしで終わってしまいました。57歳の冬には、しびれと入れ替わるように全身の冷え(とくに腰から下)と強い倦怠感が出現しました。さらに、手首、足首、ひじ、ひざの関節、背部が痛み、家事に支障をきたすようになりました。
痛み、しびれ、倦怠感は、入浴により嘘のように改善するのですが、出浴後2時間ほどで元に戻りました。ERTに漢方薬「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」を加えて処方。さらに、関節部に温熱サポーターを装着する、就寝時にはトルマリンシーツを敷く、などを行うことにより、痛み・しびれ・倦怠感は若干軽減しました。
59歳の春頃より、痛み→しびれ→全身の倦怠感は順次解消し、夏には健康感を実感できました。自分自身の更年期障害体験から、身体を温めることが、不定愁訴と言われる更年期の諸症状に有効であると確認しました。
私は、循環器内科を専門とする医師です。東京大学医学部第二内科坂本研究室へ、国内留学で鹿児島大学から来られていた鄭 忠和先生(鹿児島大学大学院循環器呼吸器代謝内科元教授)と一時机を並べて仕事をしていました。鄭 忠和先生が、1989年から取り組まれてきた慢性心不全患者のための温熱療法(和温療法)が更年期障害の治療に有効ではないかと漠然と考えていました。2009年、千葉県衛生研究所所長と千葉県立東金病院副院長を辞し、現在の職場(静風荘病院)に移った際に、和温療法をライフワークとしてどうしてもやりたいと希望し、受け入れていただきました。2010年から和温療法を静風荘病院で開始しましたが、その効果は狙い通りでした。
本治療は、乾式遠赤外線サウナを用いた40度から60度の低温サウナ浴を15分間施行した後、出浴後30分間の安静保温を行います。遠赤外線は熱透過性に優れており、表皮を通過し皮下組織において温熱効果を発揮することから、ほかのミストサウナなどと異なり体表面を過度に温めることなく、患者が熱による痛覚刺激を受けることもなく、効率よく深部体温を上昇させることができます。本法により患者の深部体温は約1度上昇し、体温上昇が約30分間維持されますが、その間心拍数や体血圧の変化はほとんどなく、酸素消費量の変化はわずか0.3METs程度で、心臓に対して負荷のない治療法であることが確認されています。また、サウナ浴前後に体重を測定し、その発汗量に見合った量の飲水をしてもらい、脱水の予防にも努めています。和温療法を1日1~2回、週3~5回、2~6週間施行すると、心臓移植を必要とする重症心不全など難治性疾患に明瞭な回復が得られることが明らかにされています。さらに週2~3回の反復継続により和温療法の効果は持続します。
また、和温療法は患者さんの全身の血管機能を改善し、中枢・末梢の自律神経や神経体液性因子(ホルモン活性)を是正し、自己免疫や生体防御機構を賦活化すると考えられ、全身の疲労感に先立ち、頭重感・抑うつ感・不眠・食欲不振・気分不良などが著明に改善し、漢方薬等の併用やマッサージ等のリハビリテーションプログラムを取り入れることにより、順調に生活の質(QOL)が改善されます。和温療法は安全で費用対効果に優れ、患者をなごませ爽快な発汗を促す優しい包括的治療です。
更年期障害の治療として最も優先されるべきは、身体を芯から温めてあげることです。入浴、銭湯、温泉を楽しみましょう。衣服は、上は薄く、下はしっかりと保温し、冷たい食べ物や甘い食べ物を食べ過ぎないこと。季節外れの野菜や果物を摂取しないこと、とくに冬に夏野菜を食べたりしないことです。
食事の摂取量を減らして痩せる食べない系のダイエットは、ミネラル・ビタミンのバランスが崩れ、食べ物からエネルギーや熱をつくることができません。運動不足で筋肉量が下がると、熱産生の元であるミトコンドリアの数が減り、体温が低下します。過度のストレスは血行不良をもたらします。
ぜひ、明日から自分の身体を芯から温めることを実行して、本書が皆さんのお役に立ち、50代を少しでも快適に過ごされることを願っています。  (「はじめにより」)

【1章】女性のライフサイクルと女性ホルモン
・女性の一生はホルモンがカギを握る
・女性のライフサイクルと女性ホルモン
(1)思春期まで
(2)思春期
(3)性成熟期
(4)更年期
(5)老年期
・2つの女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」
・ライフサイクルと発症しやすい症状、疾患
・寿命と卵巣寿命の差が30年以上ある日本女性
<COLUMN>エストロゲンの多様な働き

【2章】更年期に見られる心と身体の症状
・「早い時期」と「遅い時期」で更年期障害の症状は変わる
・あなたにはどんな症状がありますか?
・早い時期に見られる症状
(1)のぼせ、発汗
(2)めまい、頭痛
(3)不眠
(4)抑うつ
(5)思考力低下
(6)イライラ
(7)冷え症
(8)疲労感
(9)動悸
(10)不安
・遅い時期に見られる症状
(1)脂質異常症
(2)耐糖能異常
(3)動脈硬化性疾患
(4)骨粗しょう症
(5)肩こり・腰痛・関節の痛み
(6)皮膚のかゆみ・かさつき
(7)認知機能低下
(8)子宮脱
(9)尿失禁
(10)萎縮性膣炎
<COLUMN>更年期症状と間違えられやすい病気

【3章】早い時期に見られる症状への対策と治療
・女性の健康を守るために必要な原則
・自分でできること
(1)ストレッチポーズ
(2)ひざを曲げないウォーキング
(3)カルシウムやビタミンD、大豆を摂る
(4)温湿布
(5)ツボ押し
(6)禁煙する
・治療の2本柱は「ホルモン補充療法」と「漢方療法」
・更年期外来での治療
(1)ホルモン補充療法(HRT)
(2)漢方
(3)向精神薬
(4)その他の薬物治療
(5)精神療法
・サプリメントやアロマテラピーも上手に使う
<COLUMN>ホルモン補充療法でがんリスクは高くなる?

【4章】遅い時期に見られる症状への対策と治療
・医療機関での健康診断の受け方
・遅い時期に見られる症状
(1)脂質異常症への対応
(2)耐糖能異常への対応
(3)動脈硬化性疾患への対応
(4)骨粗しょう症への対応
(5)肩こり・腰痛・関節の痛みへの対応
(6)皮膚のかゆみ・かさつきへの対応
(7)認知機能低下への対応
(8)子宮脱への対応
(9)尿失禁への対応
(10)萎縮性膣炎への対応
・自分でできること
(1)血流をよくする
(2)筋肉をつける
(3)骨を増やす
(4)ストレスを防ぐ方法を身につける
(5)早寝・早起きをする
・更年期対処法のまとめ