頁数/仕様
152ページ / 縦:21cm 横:14.8cm
初版
2019年11月
在庫
在庫あり

心が荒れている子にちゃんと伝わる12歳までのお母さんの言葉がけ

カッとなったりイライラしたり、心が荒れる・荒れないは、親の関わり方次第。子どもの心の「荒れ」の原因を知って、上手に対応していく方法を年齢別・シーン別に紹介。
著者(肩書) 渡辺弥生《法政大学文学部心理学科教授》
主な著作 『絵で見てわかる 「しぐさ」で子どもの心がわかる本』(PHP研究所)
編集等
税込価格 1,320円   (本体価格:1,200円)
対象 3~12歳頃の子どもの保護者
頁数/仕様 152ページ / 縦:21cm 横:14.8cm
初版 2019年11月

Get Adobe Reader『目次』『見本ページ』をご覧になるにはAcrobatReaderが必要です。
予めご用意ください。


人は、「自分とはなんだろう?」「自分はどうして生まれてきたのだろう?」という問いをいつからか持ちはじめ、やがて、それなりに「自分らしさ」を見つけて、主体的に自律的に生きようとします。これを「個性化」といいます。
他方で、他人のことが気になり、親しくなりたいと思うものの、うまくいかないこともあり、悩みつつ他人と協力する術を知り、社会に適応する生活を送るようになります。これは「社会化」と呼ばれます。

この「個性化」と「社会化」は、同時に育ちながらも、発達の折々で矛盾しはじめます。自分らしさを出しすぎると他人に責められることもあれば、他人のことを考えて自分を抑え込みすぎてもストレスが大きくなり、途方に暮れることとなります。自分が間違っているのか、自分は存在していいのだろうかと悩みはじめます。
同時に、他の人と協力して生きていくために、自分に折り合いをつけたり、他人と衝突したりと、試行錯誤を繰り返します。特に幼児期や児童期は、こうした自分の心を客観的に見る力が未熟なので、不快さの原因を、自分で意識できない場合もあるでしょう。

子どもの中のこうしたトラブルや葛藤が、親には「心の荒れ」として映るものです。何かにふてくされたり、気持ちが高ぶったり、逆に、落ち込んだりと、発達の各時期で子どもが見せる「荒れ」に、親は手に負えないような気持ちになることも少なくないと思います。しかし、心の荒れは、人が発達を通して「変化(チェンジ)」していく上で、常に経験するものなのです。

幼児期には「~したい」という強い欲求に突き上げられていますが、そのうち「~すべき」という規範がわかるようになります。「~すべき」という考え方が、「~したい」という欲求を抑えるように「我慢する心」が獲得できるようになります。しかし、それまでに、何度も失敗を経験して、ようやくコントロールできるようになるのです。
「昨日」も「明日」も考えられなかった子どもが、次第に時間の概念を理解しはじめ、過去や未来のことが展望できるようになると、そのぶん悩みが増えてきます。対人関係において、好きな子とばかり遊んでいたのが、友だちが増えると、いろいろな人の気持ちを考えることが必要になり、そのぶんトラブルが増えてきます。
つまり、健康な発達を遂げているからこそ、葛藤が減るどころか、新たに増えてくるわけです。

そもそも、人が「生きる」ということは、さまざまな葛藤を抱えながら生活していくということで、悩みや葛藤が「ゼロ」というのはあり得ないことではないでしょうか。「健康だからこそ、葛藤を抱えることができる」と言えます。葛藤をすべて回避し、葛藤を抱えない状況こそが、心配すべきことなのです。
ですから、子どもの心の「荒れ」を、むやみにダメなものと決めつけて、「早く直しなさい!」と押さえ込んだり、叱ったりしないでください。見ないように見過ごすものでもありません。

子どもの心がカサカサと荒れてきたと感じたら、それは子どもが一歩成長し、階段をひとつ登ろうとしていることの表れと捉えましょう。
登り方を教えたり、足場をかけたり、親自身がモデルとなって導くのもよいでしょう。子どもの気持ちに寄り添って手をかけ、心をかければ、ほっこり、フーッと息がつける経験が、親子にとってかけがえがない人生の一コマとなるはずです。
「今、ここ」で穏やかになれるときがあると、子どもの心は充電され、困難の中でも勇気を持って新たな一歩を踏み出すことができます。

さあ、子どもの独自性を認めつつ、少しずつ社会に適応できる知識やスキルを、特にこの本では「感情力」を上手に身につけていくための「足場かけ」を、今日から実践していきましょう。  (「はじめに」より)

【PART1】子どもの心の育ちと「荒れ」
「荒れ」はどうして起きるのでしょうか?
■0~3歳
・愛着
・表象(イメージ)の獲得
・三項関係
・気質
■3~6歳
・基本感情の獲得
・心の理論
・自己調整能力
・遊びの発達
■7~9歳
・ソーシャル・ディスプレー・ルール
・脱中心化
・社会的視点取得能力
・向社会的行動
■10~12歳
・ミクスト・フィーリング(入り混じった感情)
・劣等感
・メタ認知
・ソーシャル・スキル
〈コラム〉親子で気持ちのキャッチボールを

【PART2】こんなときどうする?! 子どもの心を荒らさない親の言葉がけ
子どもの「心のしなやかさ」を育てるために親が心がけたいこと
■3~6歳
・なんでも「イヤ!」
・危ないことばっかり!
・タオルやぬいぐるみをはなそうとしない
・自分のものを渡さない 他の子のものを取り上げる
・ひどい癇癪
・家ではおしゃべり 園ではダンマリ
・わざと怒られることをする いうことを聞かない
■7~9歳
・すぐにふてくされる 落ち込んでばかり
・きょうだいげんかばかり
・特定の子にだけやさしい
・何も話そうとしない
・やる気がない
・友だちづきあいがうまくいかない
■10~12歳
・積極的になれない
・容姿のことでふさぎこみがち
・スマホやポータブルゲームばかり
・身だしなみに変化が……
・急に食べなくなった
・「嫌われている」と落ち込む
・同じ間違いを繰り返す
〈コラム〉年齢別 親の関わり方のポイント

【PART3】子どもの「荒れ」を予防・改善! 親子で「感情力」を高める方法
・心の「荒れ」は「感情力」に起因している
・「感情力」が身についていない人が増えている
・親子で「感情力」を高めよう

◆自分の感情に気づく
・たくさんの言葉で いろいろな気持ちを表す
[やってみよう!]気持ちを言葉で表す
・体の変化で気持ちに気づく
[やってみよう!]気持ちは体に表れる
・自分の表情 見たことある?
[やってみよう!]鏡を見ながら表情づくり
・気持ちは「しぐさ」に表れる
[やってみよう!]気持ちを「はい、ポーズ」
・気持ちは声ともつながっている
[やってみよう!]どんな声?
・気持ちを表してみよう
[やってみよう!]うれしいとき 楽しいとき
・時間とともに気持ちも変化する
[やってみよう!]感情の変化を見てみよう

◆他の人の感情に気づく
・他の人にも気持ちがある
[やってみよう!]この人は今どんな気持ち?
・声で相手の気持ちを知る
[やってみよう!]声の調子から考える
・みんながいろいろな気持ちを持っている
[やってみよう!]同じ場面でも気持ちは違う
・気持ちには強い、弱いがある
[やってみよう!]気持ちの温度計は何℃?
・相手の気持ちに寄り添う
[やってみよう!]どう声をかける?
・みんなと仲よくなれる言葉
[やってみよう!]相手のいいところをほめよう

◆自分の感情を調整する
・小さなイライラを吐き出そう
[やってみよう!]イライラコップ
・ドキドキを小さくする方法
[やってみよう!]自分だけのおまじない
・あやまりたいけれど あやまれない
[やってみよう!]「ごめんなさい」の練習
・ものの見方を変えてみる
[やってみよう!]「気になるところ」は「よいところ」
・「折れない心」のつくり方
[やってみよう!]自分にはどんな力がある?
・気持ちと行動はつながっている
[やってみよう!]気持ちを変える 行動を変える
・元気になれる「とっておきの方法」
[やってみよう!]元気になる魔法
・食べもののおいしさを全力で感じる
[やってみよう!]「食べる」を感じよう
・周りの音に気づく
[やってみよう!]耳をすませば
・体を動かしてリラックス
[やってみよう!]軽い運動でストレス解消

◆友だちとうまく関わる
・問題を解決するステップ
[やってみよう!]問題解決のABCD
・あの人はどんな人?
[やってみよう!]「友だち」って何?
・心のセリフを考えよう
[やってみよう!]いろいろな気持ちと意見
・仲間になろう
[やってみよう!]遊びの輪に入ろう
・ちゃんと仲直りができる
[やってみよう!]ケンカしても仲直り
・上手に断る技術
[やってみよう!]「誘う」「断る」の練習
・一緒に楽しむために必要なこと
[やってみよう!]説明できるかな?