頁数/仕様
128ページ / 縦:21cm 横:14.8cm
初版
2020年2月
在庫
在庫あり

「老け手」解消! 手・腕に浮き出る血管はこうして改善する

手の「老け感」に悩んでいませんか? 手の甲や腕にボコボコと浮き出る血管「ハンドベイン」を目立たなくするためのエクササイズや生活習慣、最新の治療法などを解説します。
著者(肩書) 阿保義久《外科専門医・脈管専門医、北青山Dクリニック院長》
主な著作
編集等
税込価格 1,320円   (本体価格:1,200円)
対象 一般
頁数/仕様 128ページ / 縦:21cm 横:14.8cm
初版 2020年2月

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「手の甲の血管がボコボコと目立ってきて、人に見られるのが恥ずかしい」
「腕の血管が気になって、夏でも半袖が着られない」
「血管の目立つ“老け手”がイヤで、外出するのもおっくう」

このように、手や腕に浮き出る血管で悩んでいる方が、決して少なくありません。周りの人に相談しても「気にしすぎなのでは?」「年だから仕方ない」といった言葉で片づけられ、これといった対策も見つけられないまま、欝々とした日々を送っている方も多いのではないでしょうか?

手の甲や腕に血管が浮き出てくるのは、「ハンドベイン」と呼ばれる現象です。病気を心配される方がいますが、病的なものは稀で、ほとんどは加齢などによって起こる生理的な変化です。基本的には、放っておいて問題ありません。
しかし、気になる方にとってはかなりのストレスで、東京・北青山にある私のクリニックには、遠方からも治療を受けに来られる方がいます。
ハンドベインの治療を希望して当院を訪れる方の大半は女性ですが、男性もいらっしゃいます。「腕を出す仕事なので気になる」「孫に気持ち悪がられて悩んでいる」など理由はさまざまですが、男女を問わず、どなたもとても切実に悩んでおられるところが共通しています。

当院でハンドベインの治療を始めたのは、2007年のことです。ある患者さんからの強い要望がきっかけでした。
その頃、当院では、日本ではまだ確立されていなかった下肢静脈瘤(足の静脈瘤)に対する日帰りの血管内レーザー治療が口コミなどで話題となり、治療に追われる日々を送っていました。
そんなある日、ピアニストの方から「手に浮き出た血管が気になるので、血管内レーザー治療で治してもらえないでしょうか?」という相談を受けたのです。正直なところ、私はかなり戸惑いました。
手や腕の静脈の拡張は、下肢静脈瘤と違って病気ではないので、治療対象として考えたことがありませんでした。痛みやしびれなどの症状が出ているならともかく、見た目が気になるという理由で医療行為を行うことには、やはり抵抗感がありました。そのため、最初はお断りしたのです。
ところが数カ月経って、その方が再び来院され、「どうしてもお願いしたいのです」と相談を受けました。私がお断りしたあと、治療できるところをあちこち探されたようでしたが、結局見つからず、困り果ててもう一度、私のところへ来られたということでした。お話を聞くうちに、その方にとって手の血管のふくらみがいかに大きなストレスになっているのかを痛感しました。そこで、実際に治療を行うかどうかはいったん保留し、手の静脈の治療について調べてみることにしました。
国内外の文献を調査したところ、アメリカでは手や腕の静脈が浮き出る症状を「ハンドベイン(hand〈手〉+vein〈静脈〉)」と呼び、複数の医療機関で治療例が報告されていることがわかりました。さっそく、その中の数人の医師に連絡をとり、納得のいくまで説明を受けた結果、安全性については問題がないとの情報が得られました。
これなら大丈夫だと確信し、ピアニストの方に来ていただいてインフォームドコンセント(医師が患者さんに病状・治療方針を充分に説明し、患者さんが納得・同意してから治療を進めるという診療原則)を行いました。アメリカの治療例を見る限り、治療によるリスクは低いこと、ただし私自身に治療経験がなく、エビデンスも充分に揃っているわけではないことから、想定外の事象が生じる可能性が否定できないことを伝えました。すると、「それでも構いません」ということでしたので、治療を行うことにしたのです。

決して無謀だったわけではありません。下肢静脈瘤の治療法を、手の静脈の治療に応用することは、大学病院在籍中から血管外科を専門としてきた私にとって、技術的にそれほど難しいものではありませんでした。丁寧に治療を行えば、大きなトラブルが起こる心配もないという確信はありました。
ただし、初めての手術が、ピアニストの方の手ということで、より慎重に治療を行ったことは事実です。治療後に少しでも手や指に違和感が生じるようなことがあれば、ピアニスト生命に関わるからです。
結果は大成功でした。手の甲にボコボコと浮き出ていた血管が目立たなくなり、治療後の手の動きにもまったく支障がなく、とても喜んでいただけました。
それでも、このあとしばらくは、ハンドベインの治療を積極的には行っていませんでした。ハンドベインで深く悩んで相談に来られた方だけを対象に、細々と続けていた感じです。しかし、治療を続けるうちに、ハンドベインを解消することで、患者さんたちの幸福感が向上したり、精神面が安定したりする様子を何度も目の当たりにし、私の意識が少しずつ変わっていきました。

当院には、ハンドベインに限らず、さまざまな症状の方が来院されます。どのような患者さんも、多かれ少なかれ「心の問題」を抱えておられることは、以前から理解していました。時には心理的要因がきっかけで病状が進むこともあります。
ですから、精神的な側面や心理的な部分をサポートすることも、医療行為として非常に意義があると思っていました。そして、まさにハンドベインの治療がそれに該当することに、患者さんたちの変化を見て気がついたのです。
ハンドベインは医学的には問題のない症状ですが、治療を行って手の甲や腕がきれいになると、みなさん輝くような笑顔になり、その後の人生が一変する方もいらっしゃいます。そして、それが結果的に、心身によい影響を及ぼすことも珍しくありません。つまり、ハンドベインの治療は審美的な側面のみならず、間接的に健康の増進や生きがいの創出にもつながる可能性があるということです。
そのことに気づいてから、ハンドベインの治療を、医師である自分の大切な使命のひとつと考えるようになりました。
病気ではなくても、ほかの医療機関で対応してもらえない症状に悩んでいる方たちに対して、自分の持っている知識と経験、技術がお役に立ち、喜んでいただけるのであれば、私としても非常に充実感があります。なにより、患者さんの笑顔を見ると、私もとてもうれしくなります。
2010年からは、ハンドベインの治療に関する情報を公開するようになりました。一人でも多くのハンドベインに悩んでいる方たちに、解決する方法があることを伝えたいと思ったからです。

超高齢社会となったわが国の現状を考えると、これからの医療は病気を治すだけでなく、病気を予防し、加齢による衰えを改善することに、医学的な知識や経験、技術を駆使することが、とても大切だと私は考えています。一般に「予防医療」「アンチエイジング医療」と呼ばれるものです。
ただし、「予防医療」「アンチエイジング医療」においては、私たち医療者はあくまで脇役です。もちろん、相談を受ければ全力でサポートしますが、みなさん自身が自ら積極的に取り組んでいく意識が大切なのです。ハンドベインの改善・予防も同様です。

本書では、ハンドベインの症状や原因、治療法に加えて、家庭でできる改善法・予防法、さらには静脈を健康に保つ生活習慣など、自分で簡単に実践できるハンドベイン対策についても紹介しています。
本書の内容が、手や腕に浮き出た血管に悩んでいる方、あるいはそれを改善・予防したいと考えている方たちの笑顔につながる一助となれば、本当にうれしく思います。  (「はじめに」より)

【PART1】手や腕の血管が浮き出る「ハンドベイン」
◆ハンドベインは病気ではありません
・加齢などにより手や腕の血管が浮き出てきます
・見た目が気になる方には切実な問題です
◆ハンドベインは「静脈」が拡張して起こります
・静脈は動脈より拡張しやすい性質があります
・下肢静脈瘤は病気なので治療が必要です
◆下肢静脈瘤と違って逆流防止の「弁」に異常がありません
・静脈には逆流を防ぐための「弁」があります
・手の静脈は弁が壊れにくい傾向があります
◆手や腕は「表在静脈」と「深部静脈」の血流量が同等です
・ハンドベインで浮き出てくるのは表在静脈です
◆病的な静脈トラブルが隠れていることもあります
・手の静脈の弁が壊れて逆流することが稀にあります
・静脈の血栓や先天的な病気が引き金となることもあります
◆下肢静脈瘤とハンドベインの関係
・「レッグベイン」もあります
◆ハンドベインの治療は誰でも受けられます
・10代から70代まで幅広い年齢層の方が来院されています
・持病のある人は根本となる治療を優先します
ハンドベイン・チェック
ハンドベインは破裂しない?!

【PART2】ハンドベインの原因
〈原因〉
1.加齢とともに皮膚がハリを失って薄くなる
・皮膚は「表皮」と「真皮」で構成されています
・コラーゲンとエラスチンが減ると皮膚が薄くなります
2.紫外線による皮膚の老化
・手の甲は紫外線を浴びやすいので注意しましょう
3.乾燥による皮膚の老化
・肌のかさつきはハンドベインの危険信号です
4.静脈の老化
・静脈が拡張して元に戻りにくくなることがあります
・静脈が硬くなると皮膚表面に浮き出てきます
5.女性ホルモンの影響
・エストロゲンの減少が皮膚の老化を促します
・妊娠中のプロゲステロンの増加も血管を拡張させます
6.血圧が高い
・高血圧は心臓や血管に大きな負担をかけます
・血圧の上昇は静脈の拡張を促します
7.炎症による皮膚の老化
・皮膚のトラブルは早めに対応しましょう
8.皮下脂肪が少ない
・皮下脂肪が少ない手の甲は真っ先に血管が目立ってきます
9.体脂肪が大幅に減る運動習慣
・ハンドベインが気になる人は「過度の運動」に要注意
10.遺伝
・ハンドベインの素因があっても改善、予防はできます
「医師探し」のポイント

【PART3】ハンドベインの治療
◆効果的な治療法
・患者さんの体に負担の少ない方法を導入しています
・独自の工夫で最適化しています
◆静脈を閉塞せずに「細くする」治療
・血管を完全に塞ぐと健康リスクが生じます
・手の静脈の血流を維持することを重視しています
◆患者さんの希望に限りなく近づける治療
・気になる静脈を1回の処置で整えていきます
◆安全性に配慮した丁寧な治療
・国際学会誌でも安全で満足度の高い治療法とされています
・丁寧な治療で安全性と満足度を高めます
◆手順と回復
・静脈を閉塞しないように調節できるのが利点です
・その日のうちに帰宅できます
◆多くの患者さんが満足されています
・アンケート調査とビフォア、アフター
◆そのほかの治療法
・硬化療法
・外用療法(塗り薬)
・ヒアルロン酸注入療法
・体外照射レーザー療法

【PART4】家庭でできる改善法・予防法
◆ハンドベインに効果あり! ひじ上げ深呼吸法
・簡単にできるおすすめのセルフケア
・血流と呼吸を活性化します
◆呼吸がしっかりできていないと静脈の還流が悪化します
・肺と心臓が連携して静脈の還流を促します
〈ポイント〉
1.胸郭を広げて横隔膜を動かす
・静脈血の還流促進に2つの側面から働きかけます
2.腹式呼吸と胸式呼吸の「いいとこどり」
・腹式、胸式のメリットとデメリット
・両方の呼吸法の利点を合体させた呼吸法です
◆ひじ上げ深呼吸法をやってみましょう
・ひじを上げることが胸郭と横隔膜を動かすポイントです
◆ひじ上げ深呼吸法にまつわるQ&A
〈プラスアルファのエクササイズ〉
1.両手ブラブラ&グーパー
・ひじ上げ深呼吸法とあわせて行うと効果的です
2.両手を上に伸ばして息を吐き切る
・加齢に伴う機能低下対策におすすめです
3.胸の呼吸筋を伸ばす
・背筋を伸ばして深い呼吸ができるようにします
〈静脈を元気にするエクササイズ〉
1.ウォーキング
・手足の筋肉のポンプ機能を活性化します
2.その場歩き
・無理なく続けられます
3.手、腕のマッサージ
・「指先から心臓へ」手をすべらしてマッサージします
〈呼吸を活性化するエクササイズ〉背中の筋肉を伸ばす
・胸郭と横隔膜の両方を動かすことができます
〈リラクセーションのためのエクササイズ〉呼吸法で心身をリラックス
・ストレスが溜まりやすい方におすすめします
手のマッサージにおすすめのアロマオイル

【PART5】静脈を元気にする毎日の習慣
◆生活習慣の改善は万病に効果あり
・悩みが解消すると心や体も元気になります
・ひじ上げ深呼吸法、エクササイズ、生活習慣の改善を実践しましょう
〈食習慣〉
1.セルフケア成功のカギを握るのは食習慣
・静脈に対する栄養学的な研究が始まっています
・静脈を元気にする食習慣は全身の健康増進に役立ちます
2.拡張しやすい静脈を強くする食材
・血管を丈夫にする主役はビタミンPです
・ビタミンBとDは血管の再生、成長、増殖に貢献します
3.血管の老化を防ぐなら「緑黄色野菜」
・活性酸素による「酸化」が血管を老化させます
・緑黄色野菜は抗酸化成分の宝庫です
4.血液をサラサラにして血流を促す食材
・血液の粘度は絶えず変化しています
・脂ののった青魚は多方面から血流を改善します
5.女性ホルモンのバランス回復に「大豆食品」
・30歳を超えた頃から女性ホルモンのバランスが変化します
・豆腐や納豆の常食でエストロゲンの減少をカバー
6.便秘対策には食物繊維が豊富な食材を
・便秘は腹圧を高めて静脈圧の上昇を促します
・便をやわらかくして「かさ」を増す働きがあります
7.油脂類は「オメガ3系」がおすすめ
・体内で合成できない「必須脂肪酸」が2つあります
・オメガ3系とオメガ6系はココが違います
8.静脈圧の上昇を防ぐ「減塩」
・塩分の摂りすぎは静脈の拡張を促します
・自分で調理して薄味に慣れることが基本
9.こまめな水分補給を心がける
・水分が不足すると血液がドロドロになります
・飲酒は脱水症状を招きます
〈生活習慣〉
1.肌の乾燥ケア
・手や腕の皮膚の「保湿」と「紫外線対策」がポイント
2.禁煙が原則
・活性酸素が血管と血流に甚大なダメージを与えます
生活習慣にまつわるQ&A