人名事典

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久間十義

(ひさま・じゅうぎ)
 1953年、北海道新冠郡新冠町生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。学習塾を経営していたが、1987年、豊田商事事件を扱った『マネーゲーム』で第24回文藝賞佳作受賞、脚光を浴びる。以後塾講師をやめ、執筆に専念する。

 1990年、『世紀末鯨鯢紀』で三島由紀夫賞を受賞する。その他に『海で三番目につよいもの』(新潮社)、『ヤポニカ・タペストリー』(河出書房新社)、『魔の国アンヌピウカ』(新潮社)、『狂騒曲』(角川書店)、『刑事たちの夏』(日本経済新聞社)など。汚職に挑む警官を描いた『刑事たちの夏』はベストセラーにもなった。

 久間十義は、現実の事件をベース・素材にし、それを小説にするという形をとっている。『マネーゲーム』しかり、イエスの方舟事件をベースにした『聖マリア・らぷそでぃ』しかりである。現実の事件の翻案に過ぎないと言われそうだが、十分読ませるだけの筆力が、この一見危うい手法を支えている。実力派の作家の一人。

(データ作成:1997年)