人名事典

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八代尚宏

(やしろ・なおひろ)
 一九四六年大阪府生まれ。国際基督教大学教養学部、および東京大学経済学部卒業後、経済企画庁入庁。米国メリーランド大学で経済学博士号を取得。OECD経済統計局主任エコノミストを経て、上智大学国際関係研究所教授。

 統計やモデルを駆使しながら、日本の雇用問題や高齢化社会を論じる。九七年の『日本的雇用習慣の経済学』(日本経済新聞社)では、これまでの日本の雇用制度における合理性を高く評価するとともに、将来を考慮した雇用の流動化を精密に論じて第一八回石橋湛山賞を受賞した。

 諸制度がセットと考える「日本的システムの補完性」の議論を批判して、漸進的に変化を可能にする「雇用ポートフォリオ」による分析を主張。ことに女性の労働市場と高齢化社会に着目して、一定の雇用流動化はマイナスよりプラス要因となるとする。

 最近は論壇誌への登場も多くなり、「公的介護保険」については国家に委ねるより「基本的には介護サービスは、市場に任せたほうがいい」と論じ(『論争』九六年七月号)、さらにビッグバンは雇用の流動化を加速すると予測している(『This is 読売』九八年三月臨時増刊号)。

 著作に『対外摩擦の政治経済学』(日本評論社)などがある。

(データ作成:1996年)