人名事典

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大原康男

(おおはら・やすお)
 一九四二年滋賀県生れ。京都大学法学部卒。國学院大学大学院を経て、同大教授。

 天皇制と皇室制度の精緻な研究・解釈から、横行する誤解や歪曲に激しい批判を行う。九○年の大嘗祭にまつわる議論においては、一部キリスト教会からの「反大嘗祭」の動きに対して反論。キリスト者が「政教分離」を論ずるのはたんなる口実であり、根本的に宗教戦争をしかけていることになると指摘。

 また、九四年の天皇訪米に際して「『沖縄』より『真珠湾』が大切なのか」を『週刊文春』に寄稿。沖縄の「慰霊の日」に滞米中でありながら、なぜ「日本の騙し打ち」を非難しつづけているハワイのアリゾナ記念館を訪れるスケジュールを組んだのかと、当時の「皇室外交」の錯誤を衝いた。歴史的な経緯や認識に基づき、正確に皇室を論じられる数少ない存在。

 著書に『象徴天皇考』(展転社、89年)がある。

(データ作成:1997年)