人名事典

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安原 顯

(やすはら・あきら)
 一九三九年東京都生れ。早稲田大学仏文科中退。

 “天才ヤスケン”として知られる熱血編集者。『パイデイア』『海』『マリ・クレール』と渡り歩きながら文化・芸術欄を担当。村上春樹氏、吉本ばなな氏らを発掘して沈滞気味の文学界に新風を巻き起した。九二年四月には独立して季刊書評誌『リテレール』を創刊。作家養成のための私塾も開設するなど、新たな冒険が期待されていたが、九四年十二月「断編集者宣言」。「若者の『白痴化現象』」と大手取次の「究極の差別」に気力が萎えたとか。「古典を一ミリたりとも超えぬクズ本など、ぼくは出しても仕方がないと、つくづく思う」。しかし、“筒井康隆断筆事件”の際、日本てんかん協会および本多勝一氏を「差別撤廃ファシスト」として攻撃した「イチャモン爺い、小言幸兵衛」ぶりはいまも健在である。

 著書に『現在形の読書』(DHC、96年)、『戦後50年と私』(編著、メタローグ、95年)など。

(データ作成:1997年)