人名事典

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小池和男

(こいけ・かずお)
 一九三二年新潟県生れ。東京大学教養学部卒。東京大学経済学部大学院博士課程修了。名古屋大学教授、京都大学経済研究所長を歴任し、法政大学教授。

 日本の雇用システムは年功序列で、能力主義を軽んじているという通説に真っ向から反論する。とくに、工場従業員について日米欧の比較を試み、反論は具体的である。成績査定一つ見てもアメリカはなし、西欧も乏しく、日本の工場では大企業ならば八つほどの資格があり、職能給も定期昇給額も異なるという。じつは日本ほど競争が激しいところはなく、それが労働者の技量向上に大きく作用している。そうしたブルーカラーを労働力の流動化などの名目で安易にリストラすることは、企業の自殺行為に等しいと説く。丹念な現場検証に基づいた企業論には確かな説得力がある。

 著書に『アメリカのホワイトカラー』(東洋経済新報社、93年)、『日本の雇用システム』(東洋経済新報社、94年)などがある。

(データ作成:1997年)