人名事典

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山崎正和

(やまざき・まさかず)
 一九三四年京都府生れ。京都大学文学部卒。エール大留学、コロンビア大客員教授、関西大教授、大阪大教授などを経て、東亜大学大学院教授。兵庫現代芸術劇場芸術監督。劇作家、評論家。

 深い学識と広い視野から生れる文明への鋭い洞察はお手のもの。阪神大震災では西宮市の自宅で被災。当時のボランティア活動を「都市時代に適合した優しさがあった」と振り返り、「現代日本の個人主義の成熟を示した」と分析する。強制も束縛もない緩やかなネットワーク活動の現出は、氏の指摘どおり「柔らかい個人主義」をベースにしていたともいえよう。文明評論は都市にかぎらず世界観にもおよび、アジアを限定的にとらえるのではなく環太平洋地域の枠組み「脱亜入洋」に新たな文明パラダイムを求める。

 著書に吉野作造賞受賞の『柔らかい個人主義の誕生』(中央公論社、84年)、『近代の擁護』(PHP研究所、94年)。

(データ作成:1998年)